- 2023/03/10 掲載
NY市場サマリー(9日)株下落、雇用統計控え警戒感 ドル下落・利回り低下
<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。米国の週間新規失業保険申請件数が予想を超えて増加したことで、連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを再び0.50%ポイントに拡大するとの観測が後退した。
労働省が朝方発表した3月4日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から2万1000件増の21万1000件と、増加数は5カ月ぶりの大きさとなった。ロイターがまとめた市場予想は19万5000件だった。
10日に発表される2月の雇用統計は、FRBが利上げ幅を拡大させるか手がかりをつかむために注目されている。
OANDA(ニューヨーク)のシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は、この日の週間新規失業保険申請件数について「労働市場に軟化の兆候が出始めたことに、多くの市場関係者が安堵(あんど)した」と指摘。ただ「もし明日の雇用統計が力強ければ、0.50%ポイントの利上げ観測が強まる」と述べた。
雇用市場が好調さを維持し、インフレ率が高止まりすれば、米国債利回りが一段と上昇し、ドル高要因となる。モヤ氏は「FRBは引き続きデータに依存するとしており、これにより債券相場は一段の圧力に対し脆弱になる。ドル高相場はもう少し長引く可能性がある」と述べた。
<債券> 米金融・債券市場では、短期債利回りが低下した。米新規失業保険申請件数が予想以上に増加したことを受けた。一方、リスク選好度が低下し、米国株が急落した。
米労働省が9日に発表した3月4日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から2万1000件増の21万1000件となった。増加数は5カ月ぶりの大きさ。ロイターがまとめた市場予想は19万5000件だった。
10年債利回りは5.3ベーシスポイント(bp)低下の3.923%。
BMOウェルスマネジメントの最高投資ストラテジスト、ユンユー・マ氏は「粘り強いインフレが懸念され、FRBによる利上げ期待が高まっている環境下では、金融システムが不安定ではないものの利益が上げにくくなるという懸念がくすぶり、流動性の引き締めが経済全体に大きな波及効果をもたらす」と述べた。
リスク選好度が低下し米債の追い風になった一方、S&P総合500種は1%超下落。米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの株式売却や暗号資産(仮想通貨)関連企業を中心に取引する銀行持ち株会社の米シルバーゲート・キャピタルの自主精算決定を受け銀行株が値下がりした。
<株式> 米国株式市場は銀行株主導で下落して取引を終えた。10日発表の雇用統計が米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げにつながるとの懸念が重しとなった。
ナスダック総合は2%超、S&P総合500種とダウ工業株30種も2%近く、それぞれ下落した。
S&P500銀行指数は6.6%安。一時は昨年10月半ば以来の安値を付けた。テクノロジー業界を主要な取引先とする金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループが前日、資金繰りに苦しむ新興企業からの預金減少を乗り切るため17億5000万ドルの株式売却を発表したことを受け、他の銀行株にも売りが広がった。
2月の雇用統計発表を翌日に控え、大幅な賃金上昇でインフレ懸念が高まるとの警戒感も強かった。
米労働省が9日に発表した3月4日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から2万1000件増の21万1000件となった。増加数は5カ月ぶりの大きさ。ロイターがまとめた市場予想は19万5000件だった。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米雇用関連指標の悪化を背景としたドルの軟化に伴う割安感から買いが優勢となり、反発した。
米労働省が朝方発表した週間新規失業保険申請件数(4日までの1週間)は、前週比2万1000件増の21万1000件と、3週ぶりに悪化。市場予想(19万5000件=ロイター調べ)を上回った。米労働市場の需給逼迫が緩和する兆しと受け止められ、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化への過度の警戒感が若干弱まり、金利を生まない資産である金の買いを後押し。対ユーロでのドル軟化もドル建てで取引される金の投資妙味を増した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、リセッション(景気後退)懸念がくすぶる中を売りが強まり、3日続落した。
朝方は、対ユーロでのドル軟化や前日発表された米エネルギー情報局(EIA)の週報で原油在庫が市場予想に反する取り崩しとなったことを背景に、買いが先行する展開。ただ、朝方発表された米週間新規失業保険申請は前週比2万1000件増の21万1000件と市場予想を上回り、3週ぶりに悪化した。雇用情勢の悪化でリセッション懸念が再燃しエネルギー需要の減退を招くとの連想から、相場はマイナス圏に転落。米株式相場が下落したことも、株式と並ぶリスク資産である原油の売りを促した。
ドル/円 NY終値 136.14/136.16
始値 136.28
高値 136.48
安値 135.96
ユーロ/ドル NY終値 1.0580/1.0582
始値 1.0569
高値 1.0590
安値 1.0553
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*29.00 3.8566%
前営業日終値 95*18.00 3.8770%
17時05分 96*21.50 3.9071%
10年債(指標銘柄)
前営業日終値 96*04.00 3.9760%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*05.00 4.1895%
前営業日終値 98*16.25 4.3360%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.38 4.8700%
前営業日終値 99*05.75 5.0660%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32254.86 -543.54 -1.66
前営業日終値 32798.40
ナスダック総合 11338.36 -237.65 -2.05
前営業日終値 11576.00
S&P総合500種 3918.32 -73.69 -1.85
前営業日終値 3992.01
COMEX金 4月限 1834.6 +16.0
前営業日終値 1818.6
COMEX銀 5月限 2016.5 +1.4
前営業日終値 2015.1
北海ブレント 5月限 81.59 ‐1.07
前営業日終値 82.66
米WTI先物 4月限 75.72 ‐0.94
前営業日終値 76.66
CRB商品指数 264.6538 ‐2.3628
前営業日終値 267.0166
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