- 2023/03/13 掲載
米シリコンバレー銀破綻、当局が緊急措置発動もくすぶる懸念
劇的な週末を経て、当局はSVBの顧客は13日から預金にアクセスできるようになり、銀行が緊急資金にアクセスできるようにするための新ファシリティーを設けると発表。また、連邦準備理事会(FRB)は緊急時の銀行によるFRBからの借り入れを容易にした。
これらの措置は13日に世界市場に一定の安心感をもたらしたが、より広範な銀行リスクに対する懸念は残っており、FRBが積極的な利上げ計画を堅持するかどうかに疑念を投げかけている。
コーペイ(トロント)のチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「今回のエピソードは背景となるボラティリティー(変動の大きさ)を高める要因となり、FRBの政策引き締めが続く中で、投資家は他の亀裂が生じるのを警戒している」と述べた。
当局はまた、ここ数日圧力を受けていたニューヨークを拠点とするシグネチャー・バンクの閉鎖に迅速に乗り出した。
危機回避の幅広い取り組みにより、アジア時間13日の米株先物は上昇。ただ、金融セクターに対する懸念がくすぶる中、アジア市場に上場する主要銀行株は軒並み下落した。
FRBは利上げを継続する構えで、投資家は金融システムはまだ完全に危機を脱したとは言えないと指摘する。
ゴールドマン・サックスのアナリストは12日、最近の銀行セクターのストレスに鑑み、3月以降の先行きがかなり不透明だとして、今月21─22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはもはや予想していないと表明した。
トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズのチーフエグゼクティブ、マイケル・パーブズ氏は「投資家は明日以降、多くのイベントリスクを扱うことになるだろう。他の地方銀行に対する疑問が依然として残りそうだ」と話す。
<預金者保護>
イエレン財務長官、パウエルFRB議長、グルーエンバーグ連邦預金保険公社(FDIC)総裁が連名で出した声明によると、FDICとFRBの理事会はバイデン大統領と協議の上で、SVBをFDICの管理下に置くことを承認。声明でSVB破綻に伴ういかなる損失も納税者が負担することはなく、預金を全額保護すると表明した。
米財務省の高官は今回の措置について、預金者を保護すると同時に、より広範な銀行システムに追加支援を提供するものと説明。当局は金融システムの安定性を引き続き監視していると述べた。
「金融機関は救済されない。預金者が保護される」という。
そのリスクは十分な資金を持つFDICが負担することになる。
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