- 2023/03/15 掲載
融資、個人保証不要に=地銀、依存脱却急ぐ
経営者個人が連帯保証人にならなくても、金融機関の融資を受けられるようにする制度が始まる。創業間もないスタートアップ(新興企業)を対象に15日、始動。4月からは個人保証を取る場合、金融機関に経営者への説明を義務付ける。地方銀行を含めた金融機関は、個人保証に依存した融資慣行から脱却するため対応を急いでいる。
個人保証では金融機関への返済が滞った際、経営者は個人の財産を売却してでも返済する義務を負う。経営の規律を高め、円滑な融資を促す利点がある半面、経営者らがリスクを恐れて起業や思い切った事業再生をためらう要因になっている。政府は制度見直しで障害を取り除き、経済活性化につなげる考えだ。
スタートアップ向けの新制度では、創業から5年以内なら信用保証協会への保証料率を0.2%上乗せすれば、個人保証不要で3500万円を上限に借り入れができる。来春にはスタートアップ以外にも、保証料を上乗せすれば個人保証を不要にする制度も創設する。
電子機器製造のフルハートジャパン(東京)の国広愛彦代表取締役は、経営に責任を持つため個人保証もよい面はあるとしつつ、「事業が行き詰まれば全財産を失うことになり、できれば避けたい」と話す。現在複数の金融機関から融資を受け、1行から慣例的に保証を取られており、「次の借換時に外してもらうよう交渉したい」との意向を示している。
新規融資で個人保証を不要にしている割合は地銀で平均4割にとどまる。関東地方のある地銀は、政府系金融機関との協調融資などを通じて個人保証依存からの脱却を進め、2月に6割に高めた。同行関係者は「既存の融資についても事業者の状況に応じ保証の解除を判断していきたい」と前向きな姿勢を示している。
【時事通信社】
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