- 2023/03/22 掲載
SVB破綻直後、米政府が議会承認なしの預金保護拡充策を検討=関係者
関係者の1人によると、シリコンバレー銀行が破綻した10日から数日が経過し、財務省と連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)が協議する中で、財務省の「為替安定化基金(ESF)」を活用できないかとの考えが浮上した。
もう1人の関係者も、この構想が議論されたと認めた。ただ急場の対応として議会の承認を得ない対策が実際に話し合われたものの、恒久的な解決策は議会の承認が必要になると改めて強調し、結局ESFを活用する必要はないとの考えに至ったと付け加えた。
別の関係者も、バイデン政権はコミュニティーバンクを支える上で既存の手段を保有していると述べ、ESF活用が不可欠とはみなしていないと説明した。
一方銀行業界のある弁護士によると、業界内でも預金保護をより手厚くする目的でESFの利用を検討する動きがあったもようだ。ESFが直近で利用されたのは2020年の新型コロナウイルスのパンデミック期間。
現在の米国の法制度に基づくと、規制当局は「流動性イベント」が発生して政府保証の規模を拡大する必要が生じた場合、議会に諮ることが求められている。こうした規定は、2008年の金融危機で政府による銀行救済が行われた後に導入された。
こうした中で今回政府が独断でESFを使えば、議会の批判を招くとともに、その法的な妥当性が問われる事態になったとみられる。
08年の金融危機時にFDIC総裁だったシェイラ・ベア氏は、法令にはFDICが緊急的な局面で保証を提供する義務と同時に、議会の承認を得る必要が定められているので、政府が独断専行できる根拠を見つけるのは難しいと指摘した。
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