- 2023/04/13 掲載
アングル:海外勢が日本株ポジション再構築、バフェット氏の次手探りも
[東京 13日 ロイター] - 4月に入り海外勢の日本株買いが強まってきた。日本株市場の相対的な底堅さに注目し、バリュー株を中心にポジションを再構築しているとの見方が多い。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の強気姿勢が報じられたこともあり、市場では「次の手」を探る動きも活発化している。
<過去最大の買い越し>
海外勢の日本株買いが足元で強まっている。前週(4月2─8日)の対内株式投資(指定報告機関ベース)は2兆3689億円の買い越しと2005年の統計開始以来、過去最大の買い越しとなった。
2月19日から3月25日の間に累計4兆1990億円を売り越しており、その反動にもみえるが、日本株の底堅さの要因となっている可能性がある。13日の市場では、前日に米株主要3指数がそろって下落しながら、日経平均はプラス圏に浮上した。
「1─3月にリスクオフがあった年は4月に海外勢の日本株買い戻しが起きやすい。元々、日本株のポジションが小さくなっている中で、相対的なパフォーマンスの堅調さを評価して、マネーの受け皿になっているようだ」と、JPモルガン証券のクオンツストラテジスト、高田将成氏は指摘する。
2022年1月から今年3月末までの株価上昇率は、ダウ2.85%、ナスダック総合1.80%に対し、日経平均7.80%、TOPIX6.07%となっている。金融緩和の継続や円安、コロナ禍からのリバウンドが海外に比べ遅れて発生したことなどが要因とみられている。
<バフェット氏の動きも追い風に>
米著名投資家であるバフェット氏の動きも日本株の追い風になっている。「追加投資を検討したい」と、訪日中のバフェット氏が日本株について強気な見方を示したと日経新聞電子版が11日に報じると、同氏が保有する商社株を中心に騰勢が強まった。
報道によるとバフェット氏は「次の投資先は常に頭の中にある。価格次第だ」と述べており、マーケットでは「次の手」を探る動きも出ている。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、技術力や顧客基盤をしっかり確保し、競争優位性が高い企業が、バフェット氏の「投資候補」になると予想する。最有力として挙げるのが大手電鉄株だ。顧客基盤や競争優位性がある上、不動産も保有しており「わかりやすいバリュー株」(井出氏)という。
バフェット氏はアップルのようなグロース株も保有する。井出氏は、独自性があり参入障壁が高く、持続的にキャッシュフローを生み出すことができる企業として、東京エレクトロン、キーエンス、日立製作所、オービック、NTTを挙げる。
「バフェット氏はインフラを支配して安定的に利益を稼ぐ企業を好む」と楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストはみたうえで、通信のKDDIを挙げる。海外での先行投資で今後、生産量や確認埋蔵量が拡大すると予想されるエネルギーのINPEX、エネルギー総合企業としてENEOSホールディングスも候補だという。
ソニーグループも、製造業中心からゲームや音楽、映画、金融などのソフトで稼ぐ企業へと転換しているとし「もしバフェット氏がソニーの収益構造の変化に詳しいならば、投資対象に入るのではないか」と窪田氏は話している。
一方、日本株を「世界の景気敏感株」と位置付ける投資家も多い。今年後半にリセッション(景気後退)局面が到来した場合、海外勢は再び日本株のポジションを減らす可能性もあり、足元の海外勢による日本株投資を「あくまで消去法的、一時的」(外資系証券)と冷めた目で見る声もある。
(平田紀之 編集:伊賀大記)
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