- 2023/07/27 掲載
大手損保、「なれ合い」構図=事故車紹介、契約獲得にプラス―ビッグモーター不正
中古車販売大手ビッグモーター(東京)の保険金不正請求問題で、大手損害保険会社との「なれ合い」の構図が浮かび上がってきた。複数の関係者によると、損保側は自動車事故に遭った保険契約者に、提携先のビッグモーターの修理工場を紹介。その見返りとして自動車損害賠償責任(自賠責)保険契約を獲得できるプラス面があった。
大手損保は、過去にビッグモーターへ複数の社員を出向させていたことが判明している。現段階で不正への関与は確認されていないが、こうした持ちつ持たれつの関係が、不正を見逃す土壌となっていなかったか、徹底的な検証が必要だ。
ビッグモーターなどによると、同社に大手損保から紹介された台数は年間約3万台に上ったとされる。一方、ビッグモーターは保険代理店として、紹介された事故車の台数に応じて、各社に中古車の販売に伴う自賠責保険の契約を割り当てていた。
ビッグモーターの不正疑惑が浮上後、昨年6月には損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険の大手3社は事故車の紹介を中断。だが、損保ジャパンは、出向者を通じて不正の可能性があるとの情報を把握していながら、詳しい調査をしないまま7月には紹介を再開した。同社は「調査が不十分であり、当時の判断が誤っていた」(広報)と認めた。
26日付で辞任したビッグモーターの兼重宏行社長は25日の会見で、「(損保側の)関与は一切ない」と断言した。ただ、なれ合いで見逃された可能性がある不正のしわ寄せは、保険契約者に及ぶ。水増し請求で修理代金が高くなった結果、本来は使う必要のない自動車保険の利用で保険の等級が下がり、割高な保険料を支払った事例もある。
損保ジャパンは26日、ビッグモーターの不正請求問題を受け、社外弁護士による調査委員会を設置したと発表。時期は未定だが、調査結果は公表する。損保各社は今後、ビッグモーターから保険金を回収。被害に遭った契約者を本来の等級に戻して、支払い過ぎた保険料を返還するなど、契約者への対応を急ぐ構えだ。
【時事通信社】
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