- 2025/05/13 掲載
身構える日本メーカー=米航空機関税検討で負担増警戒
トランプ米政権が検討している民間航空機や部品への追加関税に、日本のメーカーが身構えている。米大手ボーイング社の航空機生産には、三菱重工業など関わる日本企業が多い。ボーイングが輸入時に支払う高関税を背負いきれなくなれば、日本側に負担を求めてくる可能性がある。
ボーイングの787型機は、機体製造の35%を日本企業が担う。三菱重工は主翼、川崎重工業は前部胴体、SUBARUは中央翼といった具合だ。この他にもIHIがエンジン、東レは炭素繊維を供給するなど、日本メーカー抜きにボーイングの航空機生産は成り立たない。
三菱重工などは日本で部品を生産し、ボーイングに引き渡しており、関税は同社が支払っている。追加関税が課される場合、ボーイングが航空機の売価に転嫁して顧客の航空会社に負担を求めることも考えられるが、三菱重工関係者は「われわれ供給側に要請されることもリスクとして考えなくては」と警戒する。
一方、ボーイングは品質問題や大規模ストライキで生産が停滞するなど、慢性的な赤字に陥っている。トランプ政権は追加関税で航空機生産の国内回帰を狙うが、逆にボーイングの調達コストを増やし、傷を深めるのは必至。「トランプ氏が何をしたいのか分からない」(日本政府関係者)との見方は多い。
航空機の技術は特殊で、人材面からも米国への生産移管は容易ではない。ある大手メーカーの関係者は、「米国に不利益でしかない。落ち着くところに落ち着くはず」と追加関税の検討中止を期待する。大手から中小企業まで多くの部品メーカーが集積する愛知県の担当者は、「協議している政府には、中小へ影響が出ないようにお願いしたい」と求めた。
【時事通信社】 〔写真説明〕初出荷されるボーイング787の複合材主翼の初号機=2007年5月、名古屋市港区 〔写真説明〕全日空(ANA)のボーイング787型機=2014年3月、東京・羽田空港
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