- 2025/12/09 掲載
IBM、データストリーミング企業 Confluent を110 億ドルで買収、生成AIとクラウド戦略を加速
リアルタイムデータ基盤を取り込むことで企業の生成AIやクラウドサービスの展開を加速
ビジネス+IT
IBM は2025年12月8日、Confluent の全発行普通株式を現金31ドル/株で取得する契約を締結し、買収額を約110 億ドル(エクイティベースで約10.9?11.0 億ドル)とすると発表した。
Confluent の株主はこの条件を受け入れており、取引完了は規制承認および株主承認を経て、2026年中頃が見込まれている。
Confluent は、リアルタイムでデータおよびイベントをストリーミング処理できるプラットフォームを提供する企業であり、AI アプリケーションで必要となる「データの連携・統合・処理基盤」を担ってきた。Confluent の技術は、複数のクラウド環境やアプリケーション、API 間でのデータフローを管理し、企業が生成AIやエージェント型AIを本番環境で安全かつ効率的に動かすための基礎を築くものだと、IBM は説明している。
IBM にとっては、ソフトウェアとクラウド部門を強化する一環であり、近年の流れの中で売上に占めるソフトウェアの割合をさらに高めようとする戦略の一部である。実際、IBM の当年の収益におけるソフトウェア比率は約45%であったが、同社はこれを半分以上に引き上げる意向を示していた。
さらに、今回の買収は IBM にとって複数回にわたる大規模M&Aの流れの延長とみなされる。直近では2024年にクラウドソフトウェア企業 HashiCorp を64億ドルで買収しており、2019年にはオープンソース企業 Red Hat の買収(約340億ドル)もあった。これらの買収を通じて、IBM はクラウド/ソフトウェア/データ/AI を横断するエンタープライズ基盤の拡充を目指してきた。
買収により、IBM は Confluent の顧客基盤(Confluent は6,500 社を超える顧客を抱えていた)を取り込むだけでなく、リアルタイムデータ処理の能力を自社のクラウド/AIサービスに統合することで、生成AIの企業導入や運用を加速させる足がかりを得る。
今回の取引は、生成AIの普及やクラウドインフラの需要増加という市場環境を背景に、データインフラとソフトウェアに一層注力するIBMの戦略転換を象徴するものとなる。多くの企業がAI導入とデータ統合を進めるなかで、リアルタイムストリーミングを含む「データ基盤のモダナイズ」が今後の鍵となると見られている。
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