• 2026/01/28 掲載

原油下落続き物価目標の達成再び後ずれ、QQE継続へ対応策=15年下半期・日銀議事録

ロイター

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Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama

[東京 28日 ロイター] - 2015年下半期になっても原油価格の急落に歯止めがかからない中、日銀は同年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で物価目標の達成時期を再び後ずれさせた。量的・質的金融緩和(QQE)の再拡大には進まなかったものの、長期戦を見据えて12月、国債買い入れの平均残存期間長期化などQQEを補完する一連の対応を打ち出した。

日銀が28日、15年下半期に行われた金融政策決定会合の議事録を公表した。15年下半期は16年1月のマイナス金利導入の直前に当たるが、マイナス金利を巡る議論は活発化しなかった(以下、肩書きは当時)。

<物価目標の達成後ずれも、「基調は着実に改善」>

需要低迷や米国産のシェールオイル増産を背景に14年後半から進行していた原油安は15年下半期も止まらず、NY原油先物は15年12月に一時1バレル=34ドル台まで下落。09年以来の安値圏となった。日銀は10月30日の決定会合で議論した展望リポートで物価見通しを大幅に引き下げた上で、物価2%の実現時期を「16年度後半ごろ」と再び後ずれさせた。

しかし、「戦力の逐次投入」を避け、追加緩和に踏み切らなかった。黒田東彦総裁は物価目標達成の後ずれは「主としてエネルギー価格の下振れによるものであり、物価の基調は着実に改善している」と述べた。

日銀は13年4月にQQEを開始した当時、「2年で2%目標達成」を掲げたが、2年を経過しても目標は達成できなかった。しかし、中曽宏副総裁は「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に」というコミットメントは修正すべきではないと主張した。QQEの政策効果の起点には「物価安定目標の早期実現にコミットすることで予想物価上昇率を引き上げること」がある以上、「予想物価上昇率がアンカーされておらず、それ自体を引き上げていかねばならない、というわが国固有の課題に直面する日本銀行にとって、このコミットメントは必要な措置だ」と語った。物価目標の達成はさらに後ずれするが「その遅れは極力短くするべき」と述べた。

前年10月に日銀はQQEの拡大に踏み切ったが、15年10月は追加緩和しなかった。白井さゆり委員は15年11月の決定会合で「昨年の10月と今年の10月は比べ物にならないほど状況が違っている」と述べた。前年は消費税率引き上げに伴う消費の予想以上の反動減などがあったが、足元で消費は持ち直し、実質賃金もプラス圏に浮上していると指摘した。

<国債買い入れの残存期間長期化、「財政従属」懸念も>

10月に追加緩和を打ち出さなかったものの、物価目標が後ずれする中、政策委員は異例の金融緩和の長期戦を意識し始める。12月の決定会合では、QQEの継続性を担保するための対応策を決めた。

中曽副総裁は物価目標の実現をかけて「2016年は大変重要な局面になる」と発言。「今回の一連の措置により、オペレーションの綻びを招くと受け止められかねない技術的な要因を排除しておくことは、政策の継続可能性に対する疑念が生じることを防ぐとともに、われわれの政策継続に対する構えを整えることにもなる」と意義を強調した。

しかし、補完措置のうち、国債買い入れの平均残存期間の長期化などについては、石田浩二、佐藤健裕、木内登英各委員が反対した。平均残存期間を「7―10年程度」から16年は「7―12年程度」とするもので、16年に保有国債の償還が増えることで残高目標達成のためにはグロスの買い入れが増えることを見据えたものだったが、石田委員や佐藤委員は現行の範囲内で対応可能だと反論した。

さらに佐藤委員は、翌年度の国債発行計画で、政府の国債発行年限長期化が見込まれている中で「これと相前後して、本行が買い入れの平均残存期間の長期化をあえてプレイアップすることで、市場が財政従属への懸念を強める可能性もあり、情報発信のやり方として適切でない」と述べた。

石田委員は「イールドカーブ全体に働きかけるという点について、超長期ゾーンも同様に扱うことには違和感がある」と指摘した。超長期債は「生保のマーケット」であり、将来的な出口戦略で「われわれがそこから出て行った時には、多分、生保では吸収できなくなるのではないか」と警戒感を示した。

<マイナス金利導入の直前期、議論は盛り上がらず>

日銀は16年1月の決定会合で、賛成5対反対4でマイナス金利の導入を決めるが、15年下半期の決定会合を通じて、マイナス金利を導入することの是非について議論が白熱した形跡は見られない。

原田泰委員は8月の決定会合で、中国経済のさらなる悪化など、状況が大きく変わることがあれば、躊躇なく追加緩和することが必要だと述べた上で「追加緩和の手段については、幾つかの手段を考えておく必要がある」と述べた。10月30日の会合では、追加緩和の手段として「さらなる国債の買い入れ、付利の引き下げ、マイナス金利の導入など様々にある」と列挙したが、マイナス金利のメリットやデメリットには言及しなかった。

木内委員は同じく10月30日の会合で、マイナス金利政策で先行する欧州に言及し「欧州での経験を単純に日本に当てはめることはできない」と述べた。金融機関が預金者や与信先にマイナス金利のコストを転嫁すればマイナス金利の経済効果が相殺されてしまうなどと話し、マイナス金利は「かなり慎重に議論すべきテーマ」と論じた。

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