• 2026/01/19 掲載

賢くなりすぎた…「AIの2026年問題」という皮肉、歴史が突き付ける“ブーム後の現実”

篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第190回)

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AIブームに沸いた2025年が幕を閉じ、2026年を迎えた。今年はブームの勢いに乗った話題だけでなく、社会実装に向けた制約や限界が現実の課題として浮かび上がることになりそうだ。今回は、本格的なAI時代が直面する「3つの現実問題」や「AIの2026年問題」など普及の制約条件に浮上している課題について考えてみよう。
執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
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インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

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2026年、AIは試される…
(Photo/Shutterstock.com)

本格的なAI時代が直面する「3つの現実問題」

 2026年が幕を開けた。米誌『TIMES』の2025 Person of the Yearには、AIの設計者たち(Architects of AI)が選出された。AIを巡る議論は、昨年に続き今年もインフォメーション・エコノミーの主役となりそうだ。

 昨年は、勢いを増すAIの社会実装が何かと話題になったが、急速に浸透していくなかで、さまざまな課題が浮上しているのも事実だ。今年は、次の「3つの現実問題」を直視し、一呼吸おいた冷静な議論を深めていくことが求められるだろう。

 第1は、AIの開発と進歩がこのままハイペースで進んでいくかという技術的制約、第2は、AIが広く深く社会実装されていく過程で起きるさまざまな社会的課題、第3は、果たしてAIの導入は特に利益を追求する企業部門で順調に進むのか、という問題だ。

AIは“再び”失速…? 浮上する「計算資源」という壁

 本連載の第188回で解説したように、AIの進歩と普及には、アルゴリズムの開発、計算資源の進歩、AI学習用の豊富なデータ基盤という3つの要因が影響してきた。AIが2度にわたって「冬の時代」を余儀なくされたのは、これらの要因が制約になったからだ。

 この制約条件が突破されたのは2010年前後のことだ。深層学習(AIアルゴリズム)、クラウド・コンピューティング(計算資源)、ビッグデータ(豊富なデータ基盤)のブレークスルーが重なったことで、AIは長い「冬の時代」を脱し、現在に至る第3次ブームへと飛躍できた。

 ところが、2026年には、計算資源やデータ基盤が再び制約条件になりそうな気配だ。計算資源については、GPUへの需要が急拡大するなかで供給が追い付かず入手が困難な状況が続いている。これがエヌビディアの好業績につながっているのは周知のとおりだ。

 さらに、GPUを多数搭載したAI用のデータセンターは電力消費量が膨大なため、その確保に向けた電源開発も不可欠だ。AIを利用する企業や個人は都市圏に集積しており、電源開発とAIデータセンターの立地調整も求められる。

 いずれも、膨大な資金が必要な大型インフラであり、ソフトウェアのように瞬時にアップデートできるものではない。需給見通しを踏まえて、計画から、着工、工事、竣工、稼働まで、長期の時間軸で取り組む有形資産への設備投資が伴う。 【次ページ】【AIの2026年問題】性能向上が招く“データ枯渇”という皮肉
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