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  • 2021/05/13

東芝、ダルマ・キャピタル、世界初、金融市場における高速高頻度取引の共同検証開始

東芝

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 株式会社東芝(代表執行役社長 CEO 綱川 智、以下 東芝)、ダルマ・キャピタル株式会社(代表取締役 塩谷 明達、以下 ダルマ・キャピタル)は、株式市場における高速高頻度取引への疑似量子計算機「シミュレーテッド分岐マシン(TM)」適用の有効性に関する共同検証を開始します。金融取引システム上で、疑似量子計算機が提示する最適解に基づいた投資戦略の有効性を検証するという今回の取り組みは、世界初の試み(*1)となります。

■背景

 国民の安定的な資産形成の促進を目指した施策が行われる中(*2)、全ての投資家が適正な価格で取引できる金融市場の実現のため、市場における効率性(*3)や流動性(*4)の向上が期待されています。金融市場の取引主体として重要性が増し続ける高速高頻度取引(High-Frequency Trading、以下HFT取引と略す)(*5)業者は、高速に判断を行う取引アルゴリズムを用いて金融商品の売買を高速、かつ、高頻度に繰り返すことを特徴とします。その取引活動が市場の効率性(*6)、流動性向上(*7)に寄与すると考えられています。

 例えば、株式市場においては、個々のニュースに対する過剰な反応等により個別銘柄の価格が適正価格から大幅に乖離する現象(以下ミスプライシング)が発生し、一般の投資家が不利な価格で取引する場合があります。HFT業者は、このような市場が乱高下する局面においても、割高/割安な金融商品を見つけ出し、割高なものは売却し割安なものは購入するといった対当する取引を実行することで、速やかにミスプライシング状態を解消し、市場の効率性と流動性の向上に貢献しているとされています(*6,7)。

 従来のHFT取引では、主として高速性が競争力の源泉となるような自明な裁定機会(*8)が重視され、高度な評価関数を用いてミスプライシングの広域探索(*9)を高精度に行う数理モデルとの融合は必ずしも進んでいないと考えられます。一方、近年、従来困難だった大規模な組合せ最適化問題を高速・低遅延に解くことを可能とする疑似量子計算機の開発が急速に進んでいます(*10,11)。この疑似量子技術と従来のHFTテクノロジーを融合することで、これまで対象とできなかった統計的な裁定機会を含む広域な領域を、市場の価格変動に対して十分小さな遅延で探索することが可能になると考えられます。今までHFT取引の対象とされていなかったミスプライシングも速やかに検出し、これを解消する取引システムを確立することができれば、市場の効率性や流動性をさらに向上するものであると期待されます。疑似量子技術の登場によりこのような新概念のアルゴリズム取引が構想されますが、それらは金融、特にHFT取引の性質上、実際の市場で検証される必要があります。

(*1)当社調べ。

(*2)金融庁のWebサイト https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/download/index.html

(*3)[Shleifer A., and R. W. Vishny, 1997, The Limits of Arbitrage, The Journal of Finance, March 1997, Vol. 52, No. 1, pp.35-55]によると、効率的な市場とは、裁定取引(*8)により証券価格がファンダメンタル・バリュー(本質的価値を表す適正な価格水準のこと)に保たれていることを指す。

(*4)投資家にとっての市場での株式取引のしやすさを示す指標のこと。いつでも価格に大きな影響を与えずに大量の取引ができる場合、流動性が高い市場と言う。

(*5)ここでは金融商品取引法2条41項に定義される高速取引行為のことを指す。 [金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第1回)、事務局説明資料、2016年5月]によると、東京証券取引所の全取引に占めるコロケーションエリアからの取引の割合(注文件数ベース)は2016年1月時点で70%を超えており、その多くがHFTからの注文だと言われている。

(*6)HFTと市場の効率性に関しては[Brogaard J., H. Terrence, and R. Ryan, 2014, High-Frequency Trading and Price Discovery, The Review of Financial Studies , August 2014, Vol. 27, No. 8 (August 2014), pp.2267-2306.]を参照のこと。

(*7)HFTと市場の流動性に関しては[大崎貞和、HFT(高頻度取引)と複雑化する米国の株式市場構造、月刊資本市場、2014年11月、No.351]を参照のこと。

(*8)裁定取引について、[Sharp W., and G. Alexander, 1990, Investments, 4th edition]は、同一、もしくは、本質的に類似性の高い金融商品の間において、それらの価格に有意な乖離がある場合、割安な方を買うと同時に割高な方を売る取引、と定義している。

(*9)広域探索:ここでは、選択し得る全ての候補の中から最も良いものを見つけ出すことを指す。具体的には、数学的に定義される組み合わせ最適化問題を解くことで最適な投資機会を見つけることを言う。

(*10)東芝プレスリリース1: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1904-01.html;

H. Goto et al., Science Advances 5, eaav2372 (2019). https://advances.sciencemag.org/content/5/4/eaav2372

東芝プレスリリース2: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2102-02.html; H. Goto et al., Science Advances 7, eabe7953 (2021). https://advances.sciencemag.org/content/7/6/eabe7953

東芝プレスリリース3: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2103-01.html; K. Tatsumura et al., Nature Electronics 4, 208 217 (2021). https://doi.org/10.1038/s41928-021-00546-4

(*11)東芝プレスリリース: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1910-02.html; K. Tatsumura et al., IEEE Int’l Symp. on Circuits and Systems (ISCAS), 1-5 (2020). https://doi.org/10.1109/ISCAS45731.2020.9181114

(*12)金融商品取引法2条42項に定義される高速取引行為者として実施。

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