- 2021/08/30 掲載
エクサウィザーズ・アステラス製薬など、医療従事者向け歩行機能評価アプリを共同開発
エクサウィザーズ、アステラス製薬、順天堂大学、国立長寿医療研究センター

■プロジェクトの背景・社会課題 ~歩行機能の評価と改善が介護予防の重要な指標に~
超高齢社会を迎えている日本において、要介護状態になる前から支援に取り組む「介護予防」の重要性が高まっています。要介護状態となる要因の中で、関節疾患や骨折・転倒などの運動器疾患が24%を占めており(※1)、要介護状態と健常状態の中間であるフレイルや、要介護リスクの高い状態としてロコモティブシンドロームのような運動器疾患に起因する概念にも注目が集まっています。
運動器の機能の中でも、歩行機能は日常生活の質の維持において中核的指標であり、機能低下と様々な運動器の疾患リスクや死亡率との関連性も示されていることから(※2)、高齢者の歩行機能を把握することは要介護リスクのみならず、高齢者の健康リスクやQOLを評価するうえでも重要な位置を占めます。しかしながら、歩行機能の評価にあたっては、一般的に理学療法士等による専門的な評価が必要であり、生活者が専門知識なしに一目で分かるような歩行機能評価の仕組みが不足しています。
そこでエクサウィザーズは骨格抽出技術を活用し、高齢者の歩行の様子を撮影した動画から歩行速度を含む複数の歩行状態を可視化できるAIアルゴリズムとソフトウェアを開発しました。このたび同技術を応用し、国立長寿医療研究センター 荒井秀典理事長監修のもと、アステラス製薬との協業を通じて、高齢者の介護予防と医療現場の支援を目的とした新たなスマートフォンアプリを共同開発しました。
(※1)内閣府「令和3年版高齢社会白書」より( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/pdf/1s2s_02.pdf)
(※2)公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」( https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/hokou.html)および、厚生労働省「健康日本21(身体活動・運動)」( https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html)より
■アプリ概要 ~高齢者の運動機能ケアに必要な情報を統合的に収集・記録・可視化~
本アプリは、主に運動機能に課題を持つ高齢者のケアを担当する医療従事者が利用するプロダクトとして設計・開発しました。歩行動画を解析するエクサウィザーズ独自のAIアルゴリズムによる歩行機能指標の自動評価・分析、身体の痛みの記録、リハビリテーションやトレーニング結果を記録することができます。それらの可視化を通じて、リハビリテーションやトレーニングへのモチベーションの維持・向上につなげることを狙っています。
また、歩行機能以外の運動機能評価結果の記録や、フレイルやサルコペニアといった運動器疾患の情報、高齢者のケアを担当する複数の医療従事者間での情報共有機能に加えて、AIのアウトプットを用いた、フレイルや、骨粗鬆症、過活動膀胱といった、歩行機能との関連が示されている疾患の啓発機能も実装。高齢者の運動機能ケアに必要な情報を統合的に収集・記録し、関連する疾患における適切かつ適時的な治療の啓発を支援するツールとして活用されることを目的に開発しました。
本アプリを共同で企画・開発しているアステラス製薬は、運動器疾患領域の運動器ケア支援による患者への価値の提供としての目的のほか、フレイルなどの運動器関連状態への気づきの機会を提供することを目的として、本アプリ開発の企画を推進します。
国立長寿医療研究センター荒井秀典理事長が、本アプリの開発企画を監修し、エビデンス構築に関して協業している順天堂大学・スポートロジーセンターとは、文京区在住の高齢者コホート研究(Bunkyo Health Study)における歩行動画を含む幅広い医療データの取得・解析による疾患・機能評価との相関解析や、3Dモーションセンサを用いたAIアルゴリズムの精度検証を実施します。また、整形外科領域のリハビリテーションの支援効果を検証するために、3つの回復期病院において本アプリの実証を実施します。
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