- 2021/10/13 掲載
焦点:世界のESG債発行、1-9月期に過去最高の7776億ドル
バート・アセット・マネジメントのサミュエル・アダムス最高経営責任者(CEO)は「企業は持続可能性の取り組みを強化するとともに、それを市場に示すための手法を探っている。ESG債の発行は、両方の目的を満たすものだ」と指摘。「ESGの取り組みのために資金を調達できると同時に、持続可能性に関与する決意を投資家に強調することができる」と述べた。
1-9月の発行額の内訳は、グリーンボンドが過去最高の3621億ドル、ソーシャルボンドが1709億ドル、サステナビリティーボンドが1437億ドルだった。
ソーシャルボンドは、医療の改善や割安な住宅の供給といった社会貢献の事業向けに資金を調達。サステナビリティーボンドはグリーンボンドとソーシャルボンドを組み合わせた性質を持つ。
米小売り大手ウォルマートは先月、グリーンボンドを初めて発行して20億ドルを調達し、米企業として最大の発行額となった。同社は2035年までに使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーにするとともに、40年までに自社の事業から排出される二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにすると表明している。
ヘフレン・ティロソンの調査ディレクター、ジョナサン・バーンスタイン氏は、こうした大企業の目標達成には大規模な資金投入が必要だと指摘。「債券利回りは現時点で非常に低く、グリーンボンド市場は必要な資金を調達するための魅力的な場所だ」と話した。
アマゾン・ドット・コムは5月、再生可能エネルギーやCO2を排出しない輸送、環境に配慮したビルなどへ投資するため10億ドルを調達。セールスフォースは6月、10億ドルのサステナビリティボンドを発行すると発表した。
今年のサステナビリティボンド発行額の上位3社には、フランス金融大手クレディ・アグリコル、中国の国家開発銀行、IsDBトラスト・サービシズが名を連ねた。
グリーンボンド発行で主幹事を務めた実績は、首位がJPモルガンで240億ドルの調達を支援した。2位はシティで203億ドル、3位はBNPパリバで201億ドルだった。
ソーシャルボンド発行の主幹事では、首位はバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズで107億ドル、2位はJPモルガンで95億ドル、3位はシティで92億ドルだった。
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