- 2021/10/14 掲載
日鉄、トヨタと中国・宝山提訴=電磁鋼板の特許侵害で―電動車製造差し止めも
日本製鉄は14日、電動車に関する同社の特許を侵害したとして、トヨタ自動車と中国鉄鋼最大手・宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社にそれぞれ約200億円の損害賠償を求めるとともに、トヨタに対し対象製品を使った電動車の製造販売差し止めの仮処分を申し立てた。
国内の鉄鋼最大手が最重要顧客の自動車メーカーを訴えるのは異例。仮処分が認められれば、トヨタの電動車供給に影響が及ぶ恐れもある。
問題となったのは電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの駆動モーターに使用する無方向性電磁鋼板。日鉄はトヨタが初の量産型HV「プリウス」を1997年に発売して以来、この鋼板を同社に供給してきた。日鉄は宝山がトヨタに供給している鋼板の成分や特性などが、日鉄の特許を侵害していると判断。協議を続けてきたが、解決に至らなかったという。
トヨタは「材料メーカー同士で協議すべき事案であり、訴えられたことは大変遺憾」とのコメントを発表した。問題の鋼板については、取引契約の締結前に他社の特許侵害がないことを確認しているとして、同社は今回の訴訟が今後の生産、販売に影響が出ないよう丁寧に協議していくと説明している。
無方向性電磁鋼板はモーターの芯などに使われ、電流のロスを減らし、高い効率や出力を生み出す。世界的な脱炭素の動きの中で市場拡大が見込まれる中、日鉄は「カーボンニュートラルの鍵となる重要な技術の侵害を看過できない」(広報)として、提訴に踏み切った。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本製鉄が製造した無方向性電磁鋼板(同社提供) 〔写真説明〕日本製鉄の看板=2020年2月10日、東京都千代田区 〔写真説明〕トヨタ自動車のロゴマーク=2016年1月15日、千葉市の幕張メッセ
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