- 2021/10/15 掲載
トヨタ、驚き隠せず=電動車販売に影響も―日鉄提訴
脱炭素化の流れを受けて世界的に電動車の需要が高まる中、そのモーターに使われる特殊な電磁鋼板の特許をめぐり、日本製鉄がトヨタ自動車と中国の鉄鋼大手・宝山鋼鉄を提訴した。トヨタは、長い取引関係がある日鉄が、鋼板を造った宝山だけでなく自社も訴えたことに「びっくりしている」(長田准・執行役員)と驚きを隠せない様子だ。
日鉄側は、トヨタが電動車のモーターに使っている宝山製の鋼板が自社の特許を侵害しているとして、この鋼板が使われる電動車の国内製造・販売の差し止めを求める仮処分を申し立てた。巨大自動車メーカーのトヨタが有力な仕入れ先から訴えられるのは異例で、ある業界アナリストは「『トヨタが上で日鉄が下』という上下関係に、くさびを打ち込んできた印象だ」と指摘する。
トヨタは対象となる電動車の車種や台数を明らかにしていないが、同社が2021年3月期に国内で販売した電動車は約54万台。ガソリン車も含むすべての新車販売(約154万台)の3分の1に相当する規模だ。製造・販売の禁止が認められれば、トヨタの国内の事業活動に大きな影響が及ぶ恐れがある。
日鉄とトヨタは今夏、鋼材価格をめぐる交渉でも激しく対立。日鉄が供給停止をちらつかせて大幅値上げを求め、トヨタが折れたという経緯がある。長年、鉄鋼と自動車のトップメーカー同士で親密な関係を構築してきた両社の間に溝が生じているとの見方が広がっている。
【時事通信社】
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