- 2021/10/16 掲載
米小売売上高、9月は0.7%増で予想外のプラス 供給制約の影響継続か
8月の小売売上高は0.7%増から0.9%増に上方改定された。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「底堅い消費者動向と価格上昇を反映している」と指摘。「主要懸念は、サプライチェーンの混乱と半導体不足の拡大が商品薄を招き、需要が抑制されるつつあるように見えることだ」と述べた。
国内総生産(GDP)の個人消費項目に密接に関連しているとされる自動車、ガソリン、建設資材、外食を除くコア小売売上高は、9月に0.8%増加した。8月分は2.5%増から2.6%増に上方改定された。
内訳では、自動車販売店の売上高が0.5%増と、前月の3.3%減からプラスに転じた。販売台数は減少したものの、自動車価格の上昇が追い風となった。自動車評価会社ケリー・ブルー・ブックによると、9月の新車の平均販売価格は初めて4万5000ドルを突破した。
オンラインストアは0.6%増。前月は5.7%増だった。
オフィス勤務復帰の動きを反映し、衣料品も1.1%増加した。
建設資材は0.1%増、家具は0.2%増、スポーツ用品なども増加した。
レストラン・バーなどの飲食店は0.3%増だった。
一方、電電気製品は0.9%減少した。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「レストランや小売店の来客数は晩夏以降横ばいになっている」としつつも、クレジットカードなどの取引データは「底堅い消費を示している」と述べた。
エコノミストは、第3・四半期の個人消費の伸びが年率2%近辺と、第2・四半期の12%から大幅に鈍化したと予想する。米経済の3分の2以上を占める個人消費の低迷は、第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が第2・四半期の6.7%から減速した可能性を示唆している。
ナットウエスト・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、ケビン・カミンズ氏は、デルタ変異株の感染拡大や政府支援の先細りを背景に、消費は第3・四半期に停滞したように見えるとしつつも、堅調な雇用の伸びと貯蓄率の高止まりが今後の消費を支援する見通しと述べた。
バイデン米大統領は13日、サプライチェーン(供給網)の目詰まりの解消に向け、港湾運営会社や小売りおよび物流大手と連携して対策を強化する方針を表明。物流の混乱が年末商戦に悪影響を与える恐れがある中、カリフォルニア州の主要港を24時間体制で稼働させる。
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