- 2021/10/18 掲載
原油高、家計負担深刻に=ガソリン・灯油、高騰長期化も
原油高により、家計への負担が一段と増している。国際的な指標であるニューヨーク市場の原油先物相場は1バレル=83ドルを突破し、約7年ぶりの高値まで上昇。このまま80~90ドル程度で推移すれば、「年間の家計消費を2.8万~3.3万円増加させる」(第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミスト)との試算もあり、岸田政権にとっても看過できない水準となっている。
政府は18日、緊急の関係閣僚会合を開き、原油高への対応策を協議。国際エネルギー機関(IEA)などと連携し、主要産油国に増産を働き掛ける方針を確認した。
しかし、関係者の間では「原油高は新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復を背景にしたもので、そう簡単には収まらない」(大手商社)との見方が大勢。ガソリンや灯油などの高騰は長期化が避けられない情勢だ。
岸田政権は「成長と分配の好循環」を掲げ、労働者層などへの所得分配を目指している。しかし、原油価格の高騰は輸入元の国への所得流出につながる。また、足元の円安も原油をはじめとする輸入品価格に上昇圧力をかけている。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、原油高と円安について、「緊急事態宣言解除後の個人消費の持ち直しに水を差し、日本経済の回復を一段と遅らせるリスクがある」と指摘している。
【時事通信社】
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