- 2021/11/10 掲載
冷凍パン、人気膨らむ=地方名店の味、家庭にお届け
焼きたての味をそのままに、地方の店から各家庭へ届く冷凍パンの通信販売が注目を集めている。新型コロナウイルスの影響で外出機会が減る中、全国各地のパン店の商品を自宅で味わえるのが人気。店にとっても、安定した売り上げにつながるのが魅力だ。
冷凍パンが月1回届く定額サービス「パンスク」は、開始から1年半で会員数が1万人を突破。新規登録が追い付かず、最大3カ月待ちとなっている。地元の特産品を使ったベーグルやあんパンなど、全国約30の提携店のどこから届くかはあらかじめ決まっておらず、「自宅にいながら全国のパン屋さん巡り」を楽しめる仕組みだ。
パンは独自開発の袋などで品質を保っており、購入者は解凍してトースターなどで温めれば、焼きたてのような味を楽しめる。商品を発送する店側も特別な設備は不要。運営するパンフォーユー(群馬県桐生市)の矢野健太代表取締役は「あらかじめ納品先が確保されるため、お店は作り過ぎを抑えられ売り上げも安定する」と説明する。
町のパン店の数は、後継者不在やコンビニエンスストアとの競合で減少が続いている。ただ、食の欧米化や高級食パンブームなどを背景に、需要自体は堅調。冷凍パンの通販は「顧客層を日本中に広げられる」(矢野氏)という。
製パン素材を販売している化学メーカーのカネカも10月、冷凍パンのオンラインモール「ぱん結び」を開設した。通販初出店も含め、今月9日時点で17都道府県の約30店が限定商品などを販売しており、出店数はさらに増える見通しだ。将来的には「100店まで拡大が目標」(担当者)と力を込める。
小田急百貨店(東京)は4月から、バイヤーが全国各地から厳選した30ブランド近くのパンが取り寄せられるオンライン通販を展開。「いろいろなパンを味わえる詰め合わせや甘いもの、知名度のあるお店の商品が人気だ」(担当者)と話している。
【時事通信社】 〔写真説明〕冷凍パンの個人向け定額宅配サービス「パンスク」で届いたパン=10月26日、千葉市 〔写真説明〕カネカが手掛ける冷凍パンのオンライン通販サイト「ぱん結び」で届いたパン=10月29日、千葉市
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