- 2021/12/18 掲載
FRB当局者、債券買い入れ終了直後の利上げ支持相次ぐ
このような見方を展開したのはインフレを重視するタカ派メンバーだけではない。約1カ月前にはより多くの労働者が復職できるようFRBに忍耐強さを求めていたサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁がこの日、来年の2─3回の利上げを支持した。また、来年3月の利上げ開始についても排除しなかった。
デイリー総裁は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、物価上昇が家計に負担を与えているとしたほか、企業が労働者を雇う難しさや健康面での懸念から多くの人が職探しを避けていることなどを認めた上で「私のスタンスを調整した」と表明。「多くの米国人が職を求めていないことが明らかな今、労働市場を過度に後押しすれば、急速な利上げが必要になる」とし、急速な利上げによって経済が大幅に落ち込み、結果的にリセッション(景気後退)を招くとの見方を示した。
また、現時点でインフレ率が高く、労働市場が非常にタイトな状態ならば、パンデミック後の想定がどうであれ「適切な政策行動はテーパリング(量的緩和の縮小)後に利上げを実施することだ」と主張。パンデミックが収束すれば米経済はより多くの雇用創出を支えることができるとした一方、「現在達成可能な最大雇用の水準に近づいている」とした。
<適正な状態>
FRBのウォラー理事は17日の講演で「政策金利を最初に引き上げる適切なタイミングは経済活動の進展次第だ」と指摘。ただ、最大雇用に近くインフレ率も高いため、来年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では「フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジの引き上げが正当化されるだろう」とした。
その後の質疑応答では、バランスシートも縮小すべきと言及。今後の金融刺激策の縮小に対するアプローチについて「何度か利上げを実施し、その影響を見極めるべき」とし、インフレ率が想定通り鈍化するかを確認する必要があるとの見方を示した上で、「そうでなければ、より迅速に行動を起こす必要がある。バランスシートの縮小は長期金利を上昇させ、その支援になるだろう」とした。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は17日、インフレ率が「高すぎる」中、当局がテーパリングのペースを2倍にし、当初の6月ではなく3月中旬に買い入れを終了できるようにすることは理にかなうとの見解を示した。
その上で、テーパリングは「金融政策のスタンスを適正な状態にするとともに、来年のある時点に想定される、FF金利の誘導目標引き上げ開始に向けた選択肢を作る」と語った。
PR
PR
PR