- 2022/03/05 掲載
中国全人代開幕、今年の成長目標5.5%に下げ 国防費7.1%増
[北京 5日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京で開幕した。李克強首相は政治活動報告を行い、2022年の国内総生産(GDP)成長率目標について、昨年を下回る5.5%前後に設定すると述べた。
世界第2位の中国経済は昨年に8.1%成長し、6%以上としていた政府目標を上回った。
しかし経済は減速し始め、中国人民銀行(中央銀行)は利下げを開始、地方政府はインフラ支出を加速し、財政省は一段の減税を実施する方針を示している。
李首相は「変化する国内外の情勢を包括的に分析した結果、わが国は今年さらに多くのリスクと試練に直面するとみられ、それを克服する取り組みを続けていかなくてはならない」とし「今年は経済的安定を最優先事項とし、安定を確保しつつ前進を図る必要がある」と述べた。
22年の財政赤字目標はGDP比約2.8%。昨年の目標は3.2%前後だった。
中国銀行の調査責任者、Zong Liang氏は「(GDP)目標の達成はやや難しい可能性があり、達成のためにいくつかの措置が必要になる」と述べた。
消費者物価指数(CPI)の目標は、昨年と同じ3%前後とした。
地方政府特別債の発行枠は3兆6500億元(5780億ドル)に設定し、昨年から変わらずだった。
中国でもデルタ株やオミクロン株による新型コロナウイルスの流行が断続的に起こっている。当局の徹底的な感染封じ込め策は製造業や対面業務を伴うサービス業などに打撃を与え、成長の足かせとなっている。
政治活動報告は、新型コロナのワクチンや治療薬の研究開発を加速するとしている。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は、不動産市場低迷やコロナ禍という悪影響を打ち消すのにどの程度インフラ投資が伸びるかは不透明と述べた。「李首相は目標達成には多大な努力を要すると述べ、困難さを認めた。昨年はそのような発言はなかった」と指摘した。
コロナ感染を警戒し、今年の全人代の会期は、これまでで最も短い6日半となる予定。
<独禁対策、台湾>
政治活動報告は、公平な競争を確保する政策をさらに実行し、独占・寡占企業に一段と厳しい措置を取る方針を示した。
昨年の電力危機を踏まえ、家庭や企業への電力供給を万全にすると約束した。
穀物など主要農産品の供給を確実にし、大豆などの生産を拡大するとした。
李首相は、台湾は中国の一部という「一つの中国」政策を堅持し、「台湾海峡を挟んだ関係の平和的発展と中国の統一を推進する」と強調。「台湾独立を求めるいかなる分離主義的な活動のほか、外国の干渉にも断固として反対する」と述べた。
22年の国防予算は前年比7.1%増の1兆4500億元(2294億7000万ドル)。昨年の計画(6.8%)や今年の経済成長目標(5.5%前後)を上回った。
ウクライナ危機への言及はなかった。
PR
PR
PR