- 2022/03/06 掲載
米、利上げ局面入りへ=ウクライナ危機も、経済好調―インフレ退治目指す・FRB
【ワシントン時事】4日発表された2月の米雇用統計(季節調整済み)では、非農業部門就業者数が前月比67万8000人増と、市場予想の40万人増を大きく上回った。ウクライナ情勢をめぐる不透明感は強まっているが、好調な景気動向を背景に、連邦準備制度理事会(FRB)は「インフレ退治」を目指し、利上げ局面入りに備える。
「われわれは、より強く復活しつつある」。バイデン米大統領は4日の演説で、経済の先行きに自信を示した。雇用統計では失業率も3.8%と、新型コロナウイルス危機直前の2020年2月以来の低さに改善した。
一方、コロナ危機からの経済活動再開に伴う需要急増に供給が対応できず、幅広いモノやサービスが値上がり。1月のインフレ率は7.5%と、1982年以来約40年ぶりの高水準を記録した。人手不足から賃金も大幅上昇しており、物価高に拍車を掛ける恐れも浮上する。
パウエルFRB議長は3日の議会証言で「インフレはあまりに高過ぎる」と懸念。物価上昇圧力を緩和するため、15、16日に開く金融政策会合で、事実上のゼロ金利政策を0.25%の利上げで解除するとともに、「今年以降、連続的な金利引き上げに乗り出す」と明言した。
ただFRBの金融引き締めに、ロシアのウクライナ軍事侵攻が大きな影を落とす。厳しい対ロ経済制裁を受け、ロシアが有力生産国である原油や小麦などの相場が高騰しているほか、世界的に株安が進行。パウエル氏は「ウクライナ情勢により市場や世界が非常に不安定だ」と述べ、慎重に利上げを進める意向を示した。
バイデン氏は「インフレのせいで、多くの家庭がやりくりに苦労している」と語り、「最優先課題は物価の制御だ」と訴えた。視界不良の中、首尾よくインフレを抑制できるかどうかにFRBの信認が懸かっている。
【時事通信社】 〔写真説明〕パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長=3日、ワシントン(EPA時事)
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