- 2022/03/15 掲載
企業、経済安保へ対応加速=専門部署設置、政府関与に警戒も
半導体など重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化を柱とした経済安全保障推進法案が週内にも国会で審議入りする見通しだ。規制を受ける民間企業は対応を急いでおり、専門部署の設置などで経済安保政策の分析を強化する動きが出てきた。政府関与の強化が経済活動に負担となる可能性もあり、企業側には警戒感も漂う。
「法案成立の暁には、経済界の意見を十分踏まえて(制度の詳細を定める)政省令を決定してほしい」。経団連、日本商工会議所、関西経済連合会の3団体は14日、法制化に関する提言を小林鷹之経済安保担当相に提出した。
ロシアのウクライナ侵攻で重要物資の安定供給を確保する重要性は一段と高まっている。政府は経済政策と安保政策を連携させる法制度の整備を急ぐが、経済界が懸念するのは法案の柱である「供給網強化」「基幹インフラ事前審査」での政策対応の拡大だ。
法案には、関係省庁が支援対象となる供給網や電気、金融など基幹インフラのサイバー攻撃対応を調査・審査する仕組みが盛り込まれた。対象企業は、政府との十分な意見交換や、情報流出リスクが懸念される海外製品の点検が求められる。
政府関与の強化をにらみ、先端技術を扱う電機・ITの大手企業も対応に乗り出している。富士通やNEC、三菱電機は既に、経済安保の専門部署を設置した。日立製作所も、国際的なリスク管理を担う部署を今年春にも新設する方針だ。
一方、資金や人員が限られる中堅・中小企業は対応に苦慮している。3団体は14日の提言で「中小企業への負担や影響に特段の配慮」を求めた。小林氏も「経済安保は産学官それぞれが意識を持って連携することが重要だ」と述べ、法案の対象となる供給網やインフラの選定などでは企業側と緊密に意見交換する意向を示した。
【時事通信社】 〔写真説明〕小林鷹之経済安全保障担当相(左奥から2人目)に経済安全保障推進法案に関する提言を提出し、意見交換する経団連の片野坂真哉副会長(右)=14日、東京都千代田区
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