• 2022/03/16 掲載

焦点:利払い期日迎えたロシア国債、ベテラン投資家も戦々恐々

ロイター

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[ロンドン 16日 ロイター] - ウクライナに侵攻するロシアは16日、2013年に発行した2本のドル建て国債を巡り、1億1700万ドルの利払い期日を迎えた。制裁に見舞われるプーチン政権はボルシェビキ革命以来初の国際的な債務不履行(デフォルト)の瀬戸際に立たされている。

支払いを巡っては現在制限があり、クレムリン(ロシア大統領府)はルーブルで支払う可能性にも言及しているが、いずれにせよデフォルトを誘発することになる。ベテラン投資家でさえも何が起こるかわからないという状況だ。

ある人は、ユーロ圏危機時におけるギリシャのデフォルト以来、最も注視されている国債絡みの利払いだと表現。また、30日間の支払い「猶予期間」が事態を長引かせる可能性もあると指摘する向きもある。

ピクテの新興国市場ポートフォリオマネジャー、ギド・チャモロ氏は「デフォルトは決して明確なものではなく、今回も例外ではない」と指摘。「猶予期間があるので、デフォルトかどうかは4月15日まで実際のところ分からない」とした上で、「猶予期間中は何が起きてもおかしくない」と付け加えた。

ロシア政府の債務不履行は、プーチン大統領が「特別軍事作戦」と呼ぶ事態が2月下旬にウクライナで始まるまでは考えられなかった。

ロシアは6500億ドル近い外貨準備を持ち、格付け各社から投資適格級の格付けを受け、高騰する石油とガスを売って1日に何億ドルも得ていた。

しかし、ロシアが侵攻に踏み切ったことで、米欧や西側の同盟国は前例のない制裁措置を取り、ロシアの外貨準備の3分の2が凍結された。

エイゴン・アセット・マネジメントの新興国債券担当責任者、ジェフ・グリルズ氏は「市場は今、ロシアが(債券に関する)支払いを行わないと予想していると思う」とし、紛争はグローバル市場を本当に動揺させることが可能な数少ない新興国市場イベントの一つだという見方も示した。

これはロシアが世界有数のコモディティー(商品)生産国で、その役割が物価と世界のインフレを急上昇させているためだ。同時に、ロシアが事実上の孤立国家となり、制裁措置で機能不全に陥り、何百もの世界的大企業がロシアから撤退するのを目の当たりにすることにもなっている。

<デフォルトシナリオ>

ロシアの国債は現在、大半が額面の10─20%程度で取引されている。

16日の2本の支払いは第1陣で、今月中にはさらに6億1500万ドルの支払いが予定されている。最初の元本償還は4月4日にあり、これだけでも20億ドル相当に上る。

ベテラン投資家は16日の期日について、3つの潜在的なシナリオを考えている。

第1は、ロシア政府が全額をドル建てで支払うというもので、デフォルトの心配は当面なくなることを意味する。

ロシアの大手エネルギー企業であるガスプロムとロスネフチは、この10日間に国際債に関する支払いを済ませているため、政府が自国の利益になると思えば、まだわずかな望みはある。

第2の可能性は、政府が支払いを行わず、デフォルトまでの30日間の猶予期間のカウントダウンが始まることだ。

第3の選択肢は、ロシアがルーブルで支払うというものだが、債券の法的条件から、これはやはりデフォルトと同等で、30日間の猶予規定が適用されるだろう。

ピクテのチャモロ氏は「(ロシアが利払いを行うかどうか)きょう分かるかもしれないし、分からないかもしれない」と語る。同社はこの国債を保有していないが、他のロシア債を保有。ある国が債券をデフォルトにすると、その国の全債券が「クロスデフォルト」になる傾向がある。

「こういう場合は、想定外のことを想定しておくのが最も安全だ。いかなる可能性も排除できない」。

(Marc Jones記者)

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