- 2022/03/22 掲載
アトランタ連銀総裁、今年6回の利上げ想定 ウクライナ情勢考慮
[21日 ロイター] - 米アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は21日、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げについて、今年が6回、23年は2回との想定を示した。ロシアのウクライナ侵攻が米経済に及ぼす影響を考慮し、想定回数は他の連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーよりも少ない。
FOMCメンバーの間では、年内の残り6回の全会合全てと、来年は4回の利上げという想定が大勢。
ボスティック総裁は、全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合での講演で「高いインフレ率を制御することが、自分にとって今年の最大の関心事項だ」とし、労働需給の著しい不均衡への対処も極めて重要だと指摘した。
ただ「自分の中で高度の不確実性が前面に出ており、極めて積極的な金利の道筋が適切という確信を鈍らせている」とも述べた。
FRBの中立金利を2.25%と想定した上で、年内の利上げを巡る自身の見通しが維持されるかどうかについてあまり確実なことは言えないと指摘。「正当化されるような展開になれば、(利上げが)早まる可能性もあるし、遅くなる可能性もある。あまりに多くのことが起こり続けているように見えるため、リアルタイムで観察し、適応している」とした。
また、雇用市場は逼迫した状態にあり、需給のバランスを取り戻すことが極めて「重要」と言及。一方で、現在の賃金の伸び率は高いものの、全体的には依然としてインフレ率をなお下回っており、賃金の伸びは労働市場の恒久的な特徴というよりも雇用主が物価に追いつくように賃金を設定しようとしていることを反映しているとした。
さらにFRBが過度な高インフレを迅速に抑制することができれば、インフレ期待の高まりを抑えることができるとした。
ロシアのウクライナ侵攻について、石油や小麦といったコモディティー(商品)価格の一段の押し上げ圧力となるだけでなく、企業が供給網の再構築に取り組む中でより広範な影響を及ぼすことになり、どちらの要因もすでに強いインフレ圧力に拍車を掛ける可能性が大きいと予想。ウクライナ情勢がもたらす不確実性は経済活動を弱める可能性が大きく、リスクは「どちらの方向にも振れる」と述べた。
「経済的不確実性、あるいは金融政策の緩和の解除によって需要が失速する事態となれば、適切な道筋は、現時点の想定よりも緩やかになる可能性がある」とする一方で「供給戦略の変化といった、コスト上昇につながる展開があれば、想定よりも急な政策の道筋を取ることになるだろう」と述べた。
講演後、記者団に対し「データ上適切だと示唆されるなら」より積極的な政策引き締めや通常よりも大幅な利上げに前向きだが、現時点ではFRBによる積極的な政策引き締めを必要とすることなくインフレ率が2%に回帰すると基本的には想定していると指摘。年末までのインフレ率を4.1%と予想しつつも、サプライチェーン(供給網)の改善と労働者の復帰が価格圧力の緩和に役立つとした。
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