- 2022/05/24 掲載
インドのインフレ対策、成長阻害し財政赤字拡大する可能性
インドはここ1か月間でインフレ対策に重点を移している。しかしHSBCや野村のエコノミストによると、消費者物価の上昇率は中銀の許容範囲である6%を少なくとも100bp上回る可能性がある。また成長を阻害し、財政赤字の対国内総生産(GDP)比が40─50bp悪化する恐れがある。
コタク・エコノミック・リサーチのSuvodeep Rakshit氏は、利上げで借り入れコストが上昇し、輸出税により設備投資が鈍化すると指摘し、成長見通しに悪影響が及ぶと分析。2022/23年度のインフレ率予想は7.2%に据え置くとした。
インドは鉄鋼製品に輸出関税を課したほか、鉄鉱石の輸出関税を引き上げた。
鉄鋼大手ジンダル・スチール&パワーのマネジングディレクター、V・R・シャルマ氏は「国内の設備投資を抑制する」の見方を示した。鉄鋼会社の輸出が妨げられるとし、輸出を30年までに1兆ドルに拡大する政府の目標が遠のくと予想した。
<インフレ対策>
4月にインフレ率が数年ぶりの高水準に達したため、政府はガソリンとディーゼルの減税を行った。これにより歳入が1兆ルピー減少し、状況が悪化すればさらに2兆ルピー減ることになる。
しかし、消費者物価指数(CPI)でガソリンのウエートは2.2%、軽油は0.15%に過ぎず、今後数カ月でCPIを50bp以上押し下げる程度にとどまるとエコノミストはみている。
政府のインフレ対策の費用は、今年度の総支出の8%近くを占める可能性がある。だが食品価格や電気料金、企業の投入コスト上昇により政府の対策が相殺され、物価が上昇するリスクがあるという。
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