- 2022/05/30 掲載
アングル:米成長鈍化、株価にプラスか 金融引き締めに楽観論
住宅販売は3カ月連続で減少。ターゲットやウォルマートなどの小売大手はこのほど低調な決算を発表し、株価が動揺した。アトランタ連銀のGDPNowでは、第2・四半期の実質GDP(国内総生産)成長率見通しが25日に1.8%(前週2.4%)に低下した。
経済成長が鈍化すると、企業利益が低迷するリスクが高まり、理論的には株価は軟化する。ウォール街の複数の銀行はここ数週間、米国のリセッション(景気後退)、スタグフレーションの可能性が高まっていると警告している。
しかし短期的には、S&P総合500の下落につながっていたFRBの積極的な金融引き締め姿勢を後退させると考える投資家もいる。
同指数は27日までの週に6.6%上昇し、8週間ぶりにプラスに転じたものの、年初来では約13%下落している。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー兼マルチアセット戦略担当責任者、アンウィティ・バフグナ氏は、「FRBの全員が今後2回の会合でそれぞれ50ベーシスポイントの利上げに同意していることは非常に明白だ。しかし、その後は不透明であり、成長が急減速すれば少し様子見となる可能性がある」と指摘。同氏は最近、株式への配分を増やしたという。
BofAのストラテジストはノートで、インフレがピークに達した可能性のある時期に金利が上昇する影響を懸念し、FRBは9月に引き締めを一時停止し、金融状況が悪化した場合は指標翌日物金利を1.75─2%にとどめる可能性が高いと指摘している。
CMEによると、投資家は9月の会合後にフェデラルファンド(FF)金利が2.25─2.50%になる確率を35%としており、1週間前の50%から低下した。
とはいえ、タカ派色を薄めた可能性のあるFRBは、長期的に必ずしも株式投資家にとって青信号とはならない。インフレ率が過去数十年で最も高い水準にあることから、スタグフレーションが差し迫っているのではないかという懸念が高まっている。
シティのグローバルアセットアロケーションチームはこのほど、米国株の配分を「ニュートラル」に引き下げ、「米国の景気後退はシティにとって基本シナリオではないが、不確実性は非常に高い」とした。
一方、一部投資家は転換点が近いと考えている。
フローバンクの最高投資責任者、エスティ・ドウェク氏は、ジャクソンホール会議が開かれる8月までにFRBはインフレ・成長鈍化の兆候を目にし始めると予測。「FRBはタカ派姿勢のピークを過ぎた」と語った。
(David Randall記者、Additional reporting by Lewis Krauskopf in New York)
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