- 2022/07/22 掲載
貿易赤字、拡大の恐れ=上半期過去最大、輸出量は停滞
財務省が21日発表した2022年上半期(1~6月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は半期として過去最大の赤字幅を記録した。輸出額、輸入額ともに大きく伸びているが、資源価格の高騰や円安によって金額ベースで膨らんだに過ぎず、需要拡大に伴って貿易量が増えているわけではない。むしろ、数量ベースで見れば輸出が停滞気味で、貿易赤字の拡大傾向は当面続く恐れがある。
22年上半期の貿易赤字額は7兆9241億円。東日本大震災後に原発が稼働休止となって火力発電用の燃料輸入が増えていた14年上半期の7兆6282億円を上回り、過去最大の赤字額を更新した。
輸出入額もそれぞれ過去最高を更新。輸出額は前年同期比15.2%増の45兆9378億円、輸入額は37.9%増の53兆8619億円に上った。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高や急速な円安の進行が響き、輸入額の伸びに輸出額が追い付かなかった。
しかし、数量ベースの輸出は2.0%減、輸入はほぼ横ばいにとどまり、金額の伸びと乖離(かいり)している。6月単月の輸出数量も前年同月比1.4%減と4カ月連続のマイナスだった。半導体不足で生産が滞った自動車などの輸出数量が伸び悩んでいる。
世界経済に目を転じると、中国では感染抑制を徹底する「ゼロコロナ」政策を背景に景気が減速。欧米もインフレ抑制のため金融引き締めにかじを切っており、世界的な景気後退が懸念される。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「来年以降、世界経済が後退すれば原油価格の高騰も落ち着くかもしれないが、今年の下半期は貿易赤字が続くだろう」と分析する。
【時事通信社】
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