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  • 2025/05/29 掲載

もはやライター不要か? 元経済誌編集長が実践「Elicit×執筆・編集術」が凄いワケ

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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日進月歩の勢いで進化を続ける生成AIは、ビジネスにおいても生産性の向上や業務効率化に大きな役割を果たし得る。この傾向はメディア業界でも例外ではなく、草稿作成をはじめとした執筆・編集業務の一部を、AIが担うことも可能になってきている。しかしその一方、AI活用のよる現時点での「限界」も見えてきた。元プレジデント編集長の小倉健一氏が、生成AIを「使い倒して」気づいたメリット・デメリットを紹介する。
執筆:ITOMOS研究所所長 小倉 健一

ITOMOS研究所所長 小倉 健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。

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ライティング業務におけるAI活用のメリット・デメリットとは
(Photo/Shutterstock.com)

活用進む「AIライター」は「わずか5分」で執筆

 すごい時代が本当にやってきた。非常に月並みな言い方ではあるが率直な感想だ。あらゆる分野で人工知能、とりわけ生成AIの存在が無視できなくなっている。これは時代の大きな転換点だと感じている。

 この潮流はメディアでも同じだ。

 たとえば、文藝春秋のWebメディアである「文春オンライン」は、StoryHubが提供するAIツール「StoryHub」を積極的に活用している。

 StoryHubの note(2024年4月10日)によると「導入2カ月間で60本以上の記事をStoryHubから生成、これまで手が回らなかった長い記事のダイジェスト版作成、タイトル提案による効率化」が可能になり、文春オンライン編集長の池澤龍太氏によると「StoryHub無しの編集部にはもう戻れない」という。

 記事執筆におけるStoryHubの具体的な活用方法は、まず「レシピ」を作ることから始まる。「レシピ」とは過去に掲載された記事の中から似たトーンや文体をAIに学習させるためのサンプルだ。文字の体裁、表現方法、記事全体の雰囲気をAIに覚え込ませる。次に、取材で得られた音声データや動画データをStoryHubにインプットする。すると、AIが学習済みの「レシピ」に基づき、記事の草稿を5分後には自動で完成させてしまう。

AIが「まだ無理」な執筆作業とは

 文春オンライン以外のメディアでAI活用について話を聞いてみると、多くのメディアでは記事の草稿を生成する際に、意図的に文字量を多めに作らせておくようだ。その後、編集者が生成された大量のテキストの中から重要だと思う部分を選び出し、不要な箇所を削っていく。実は、この作業過程は、これまでの編集者の仕事そのものであることに気づく。

 これまでの記事作成プロセスは、担当編集者とライターがともに取材に出かけ、その内容を元にライターが原稿を執筆し、編集者が推敲や修正を加えて完成させるという流れだった。AIが草稿を作成し、編集者がそれを整形する現在のスタイルは、ライターの役割をAIが代替していると言える。 

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メディアにおける活用では、AIが作成した草稿を編集者が整えるという流れが考えられる
(Photo/Shutterstock.com)


 かつてウォーレン・バフェット氏が来日した際、筆者は5分だけインタビューできる機会があった。わずか5分の時間で、しかも英語と日本語での通訳を介したやり取りだったため、実質的に使える時間はさらに短かった。

 その限られた時間で得た情報をもとに、当時の編集長から3000字を超える記事を作成するよう求められ、まさに「力技」で書き上げた経験がある。このケースのような、極めて限られた情報から文脈を膨らませ、読者を引き込むストーリーを構築するような高度なライター的技術は、さすがに現在のAIには難しいだろう。しかし、一般的な記事執筆業務の大部分は、今後AIに取って代わられていく可能性が高いと感じている。 【次ページ】AI活用の「探求」でわかった「実力」
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