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- 2023/03/13 掲載
DX先進国との格差は「顧客対応」にあり、何をどの程度取り組むべきか?
「DX白書2023」で語られることは何か?
IPAは、今回、DX白書2021に続く、第2弾として「DX白書2023」を公開した。主にDXの取り組み状況の概観からDX実現に向けたITシステム開発手法と技術までの5つの章から構成されている。既存のDX関連アンケート調査の分析および企業がDXに取り組んでいる事例の収集・整理によりDXの取り組みの俯瞰図を作成し、日本産業のDXの取り組み状況の概観など
第2章 DXの取り組み状況
日米のDXの取り組み状況を概観など
第3章 企業DXの戦略
経営トップの主導のもと、全社横断的にDXに取り組んでいくために必要となるDX戦略の策定と推進プロセスなど
第4章 デジタル時代の人材
DX戦略を実現するための経営資源として、デジタル時代の人材の獲得・確保、キャリア形成・学びなど
第5章 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術
DX戦略を実現するためのもう一つの経営資源として、スピードや俊敏性の実現といったビジネスニーズへの対応や新しい価値提供を実現するための手法や技術への取り組みなど
DXの取り組み状況(日米比較)
日本において、DXの取り組みは進んでいるものの、米国と比べると道半ばだ。日本でDXに取り組んでいる企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査は69.3%に増加している。2022年度調査の米国の77.9%に近づいており、この1年でDXに取り組む企業の割合は増加している。
一方、全社戦略に基づいて取り組んでいる割合は米国が68.1%に対して日本が54.2%程度である。日本企業は、全社横断で組織的に、DXを進めていく必要がある。
「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計
「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」の合計
DXの取り組み状況を従業員規模別でみると、日本は従業員数が多い企業ほどDXの取り組みが進んでいる。「1001人以上」の企業においてはDXに取り組んでいる割合は94.8%と米国と比較しても高い割合を示している。
その一方で、従業員規模が「100人以下」の日本における割合の合計は約40%、DXに取り組んでいない企業が60%近くと、中小企業におけるDXの取り組みの遅れは顕著となっている。
DXの取り組みにおいて、日本で「成果が出ている」の企業の割合は2021年度調査の49.5%から2022年度調査は58.0%に増加している。
一方、米国は89.0%が「成果が出ている」となっており、日本でDXへ取り組む企業の割合は増加しているものの、成果の創出において日米差は依然として大きい状況だ。
企業のDX戦略の全体像とビジネスへの影響
企業のDX推進において、DX戦略の策定が重要となる。ここでは一連のプロセスについて解説している。DX戦略の策定にあたって、まずDX推進によって達成すべきビジョンを定める。そして「外部環境変化とビジネスへの影響評価」を考慮した上で「取り組み領域の策定」および「推進プロセス策定」を行い、達成に向けた道筋を整理する。
策定した推進プロセスを実現するために、「企業競争力を高める(人材・ITシステム・データとなどの)経営資源の獲得、活用」をどのように獲得・配置し継続的に有効活用するかを検討する。
「成果評価とガバナンス」では、顧客への価値提供を評価するための評価指標の設定とDX推進状況の評価、評価結果に基づく人材、投資などのリソース配分見直しの仕組を構築する。
DX推進に際しては、これらの戦略策定・推進・評価の一連のプロセスを早いサイクルで繰り返し、失敗から学習しながら進めていくことが重要となる。
DX戦略策定に際しては、自社のあるべき姿(ビジョン)達成に向け、外部環境の変化や自社のビジネスへの影響を鑑みた取り組み領域を設定することが必要となる。
IPA調査では、外部環境変化への機会としての認識で影響がありビジネスとして対応している割合で日本が高い項目は「技術の発展」「SDGs」「パンデミック」の3項目で約3割となっている。
また、「プライバシー規制、データ利活用規制の強化」「地政学的リスク」「ディスラプターの出現」の3項目はビジネスとして対応している割合が米国の約4割から5割に対して日本は2割以下と、環境変化への認識と対応が遅れている。
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