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- 2023/03/24 掲載
AKSハイブリッドのセットアップは「すんなり」? 試して分かった成果と課題とは
山市良のマイクロソフトEYE
IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など
AKS on Azure Stack HCIのセットアップに挑戦
前々回は「Azure Arc Jumpbox」の「HCIBox」について取り上げ、AKS on Azure Stack HCI(AKSハイブリッドとも呼ばれます)を含むAzure Stack HCIクラスターをAzure仮想マシン(VM)で評価できることを紹介しましたが、Azure VMの高コストのシリーズ/サイズを利用することになるため、じっくり評価するには課金に注意が必要と指摘しました。AKSハイブリッドを評価するには、少なくともAzure Stack HCIクラスターは以下のハードウェア要件が必要だからです。- コア数:32/サーバー
- 物理メモリ:256GB/クラスター
- クラスター共有ボリュームの空き領域:1TB/クラスター
最近、ある仕事の関係でとあるベンダーのAzure Stack HCI統合システム(4ノード)を1カ月ほど利用できる機会を得ました。その際、AKSハイブリッドをじっくりと評価することができました。とはいっても、AKSのノードIPプールや仮想IPプールに自由に利用できるIPアドレスを得るのが難しそうだったため、物理のAzure Stack HCIクラスターそのものにセットアップするのではなく、その中にNATスイッチとHyper-V VMを作成し、2ノードクラスターの評価環境を用意して評価しました。
利用した物理の統合システムは、1ノード(サーバー)が24コア、182GBの構成で、CSVの容量も10TBほど利用可能であるため、1ノードだけで十分なスペックの評価環境を構築できます。
AKSサービス(管理クラスター)のセットアップは、Windows Admin Center(WAC)のウィザードを使用する方法と、PowerShellのコマンドラインを使用する方法がありますが、ウィザードの方法で簡単にAzure Stack HCIクラスター上にセットアップすることができました(画面1)。セットアップ完了後、AzureポータルにはAzure Arc対応Kubernetesクラスターとして登録されます。
ワークロードクラスターを作成してアプリをデプロイする
Azure Arc対応Kubernetesクラスターには、WACのウィザードやAksHciモジュールのPowerShellコマンドレットを使用して、LinuxまたはWindowsベースのワークロードを作成することができます。AzureのAKS(マネージドAKS)との違いは、New-AzAksClusterの代わりに、New-AksHciClusterコマンドレットを使用することです。Linuxワークロードクラスターを作成し、以下のマネージドAKS向けのチュートリアルの「アプリケーションの配置」のところを実行すると、ローカルのPowerShellコンソールからkubectlコマンドを使用して簡単にAzure Voteサンプルアプリをデプロイし、動作することを確認できました(画面2)。
Kubernetesクラスターに接続するための資格情報の取得は、マネージドAKSの場合はImport-AzAksCredentialコマンドレットを使用しますが、AKSハイブリッドの場合はGet-AksHciCredentialコマンドレットを使用するか、WACのポータルからダウンロードします。
【次ページ】App Service on Azure Stack HCIにも挑戦
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