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  • 2024/09/10 掲載

VMware vSphereだけじゃない、BroadcomのVMware買収で「重要すぎる」もう1つの論点

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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米Broadcomによる米VMware買収に伴う製品ラインアップの変更は日本企業におけるサーバ仮想化環境の構築費用を引き上げる要因として懸念が高まっている。中でも仮想化ハイパーバイザである「VMware vSphere」への注目は高いが、もう1つ忘れてはならないのが、「VMware vSAN」の存在だ。本稿ではユーザー企業を対象とした調査データを元に今後の変化で留意すべきポイントを探っていく。
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BroadcomによるVMware買収による影響が出ている
(Photo:T. Schneider/ Shutterstock.com)

BroadcomによるVMware買収で何が変わるのか?

 まずは買収で何が変わるのかについて、現時点で分かっている経緯や概略を確認しておこう。VMware製品群はサーバ/ストレージ/ネットワークの仮想化、エンドポイント管理、セキュリティなど多岐にわたる。

 買収が完了した翌年の2024年1月、BroadcomはVMware製品の今後のラインアップを発表した。そこで、サーバ/ストレージ/ネットワークの仮想化に関しては以下の4つに集約されることになった。

  1. VMware Cloud Foundation(VCF)
  2. VMware vSphere Foundation(VVF)
  3. VMware vSphere Standard(VVS)
  4. VMware vSphere Essentials Plus(VVEP)

 従来、仮想化ハイパーバイザである「VMware vSphere」を単体で購入してシンプルなサーバ仮想化環境を構築していたユーザー企業も、今後は他のさまざまな製品を含むスイート製品であるVCF/VVFを選ばざるを得なくなる。

 一方で、VVSおよびVVEPは従来どおりのシンプルなサーバ仮想化環境を構築する手段だが、前者は中規模向け、後者は小規模向けといったように適用できる企業規模が限定される。さらに、ライセンス体系も永続型(買い切り)からサブスクリプション型、CPU単位からコア単位へと変更になる。

 こうした一連の変更によって、『VMware vSphereの既存ユーザーは大幅なコスト増を強いられるのではないか』といった懸念が広まっている。

 Broadcomは顧客を3つのランクに分けて、1~4のどれを契約できるかを示すとしているが、2024年8月の本稿執筆時点でもその基準などは示されていない。

 つまり、ユーザー企業にとっては『最上位で最も高価になるであろうVCFが必須となるのか、VVFも選べるのか?』などが分からず、コスト増の幅がどれくらいかを試算できない。

 その結果、他の仮想化ハイパーバイザに移行すべきかの判断も難しくなっている。過剰に慌てることは避けて、まずはBroadcomの方針に関する詳細情報を待つのが堅実と言えるだろう。

影響は「VMware vSphere」だけじゃない、忘れてはならない存在

 このようにBroadcomによるVMware買収では「VMware vSphere」に注目が集まっているが、もう1つ忘れてはならないのが「VMware vSAN」の存在だ。

 「VMware vSAN」はHCIの基盤として多くのサーバベンダーが採用し、大企業のみならず中堅・中小企業にとっても拡張性の高いサーバ/ストレージ環境を構築する際の重要な選択肢となっている。

 だが、新しい製品ラインアップで「VMware vSAN」を利用するにはVCFまたはVVFが必要となる。

 さらに、今後はOEM供給可能なサーバベンダーも集約され、ベンダーによってはサーバ機器とVCF/VVFを別々に購入してHCI環境を構築する必要が生じる可能性がある。

 先述の「VMware vSphere」に関しては、中規模/小規模向けにはVVS/VVEPが提供されるため、ユーザー企業の中で大きな影響を受けるのは主に大企業だ。

 一方で、「VMware vSAN」については今後HCIを導入しようとするすべてのユーザー企業が関係してくる。HCIは拡張性の高いサーバ環境をオンプレミスで実現するための有効な手段だ。したがって、今回の買収がHCIの今後に与える影響についても注視しておくべきだろう。

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「VMware vSAN」の影響は、次ページ以降で調査結果と合わせて解説する
【次ページ】今後のHCI導入で留意しておくべきこと
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