- 2006/05/18 掲載
「2010年、日本の未来を提案します。」 野村総研がITロードマップを発表
野村総合研究所は、2010年度までのWeb技術の進展を予測した「ITロードマップ」を発表した。野村総合研究所では、2010年、さらにはその先の日本の社会・産業のあり方についてシリーズで提言していく「2010年、日本の未来を提案します。」キャンペーンを、2005年9月から実施しており、今回のITロードマップも本キャンペーンの一環として発表されたもの。
ITロードマップによると、Web2.0というインターネットの新たなトレンドや、企業の基幹システムにおけるSOAの普及を背景に、Web技術のなかでも「リッチクライアント」は豊かな表現力や高い操作性を備えているため、ますますその重要性が高まり、2009年度ごろには一般的な技術として普及し、活用されていくことが予測されている。

CGUIの進化を支えるリッチクライアント
Web2.0の特徴を表す考え方の一つにCGM(Consumer Generated Media)がある。CGMとは、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、インターネットの利用者自らが情報を作り公開することを意味する。この動向を踏まえて、野村総合研究所では利用者自らがユーザインターフェースを作り、公開することを「CGUI(Consumer Generated User Interface)」と呼んでいる。
CGUIは、サービスの供給側がWeb APIというインタフェースを公開していることが必要となる。例えば、Yahoo!やGoogle、Amazonなどの企業が自社サービスのWeb APIを公開したことに伴って、Yahoo! WidgetやGoogle Sidebarといったリッチクライアント技術を利用したCGUIが利用者によって生み出され続けている。このCGUIは現在、萌芽期を迎えているが、Web APIを公開する企業が順調に増えていけば、2009年度には普及すると予測されている。
SOAの普及を支えるリッチクライアント
これまでの企業情報システムでは、ビジネスロジックとユーザインターフェースは一体となって開発されてきたため、受発注やCRMなどの業務アプリケーションごとにユーザインターフェースは異なり、ユーザエクスペリエンス(ユーザ側の使い勝手)もアプリケーションごとに異なっていた。
昨今注目されているSOAは、これまで一体だったアプリケーションを「サービス」という単位に分解し、それらの組み合わせによりアプリケーションを構築するアーキテクチャ。SOAのもとでは、ビジネスロジックとユーザインターフェースも分離されることになり、リッチクライアントを活用することでユーザインターフェースは特定のアプリケーションに依存することなく統一され、使い勝手を向上させることが可能になる。
しかしながら、SOAが掲げるビジネスへの高い即応性とリッチな(豊かな表現力と高い操作性を併せ持つ)ユーザインターフェースを両立させるには、今のリッチクライアント製品の機能では不十分。ビジネスに即応するためにサーバ側のビジネスプロセスやビジネスルールを変更しても、現在のリッチクライアント製品では、それらに連動して動作を柔軟に変更する機能がないためだ。
2006年度後半には、ビジネスプロセスやビジネスルールをクライアント側でも実行できるリッチクライアント製品が登場すると予測されている。さらに2008年度には、SOAに対応したサーバ・ソフトウェアと連動し、サーバ側の変更に対してリアルタイムに連動する製品の登場が期待されるとしている。
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