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- 2023/08/26 掲載
ネットフリックスは年収1億円プレイヤーも、AI人材「報酬高騰」と「格差拡大」の深刻
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
AI人材コストがさらに高騰、ネットフリックスの事例
長らく続くAI人材不足に加え、生成AIトレンドをきっかけとするAI需要の高まりなどにより、AI人材コストのインフレが加速しつつある。以下の動画ではこの記事をAIで1分にまとめて配信しています
これはいくつかのメディアが指摘したことで、米国で注目されるトピックとなっている。
たとえばTechcrunchは7月28日、ネットフリックスで掲載されている「AIプロダクトマネージャー」の求人広告において、年収が最大で90万ドルに上ることに触れ、メディア業界における賃金格差を拡大するものであると報じている。
ネットフリックスの求人広告を見てみると、ほかにもさまざまなAI関連求人で同等の報酬が提示されており、例外的な事例ではないことが分かる。
メンバーサティスファクション・マシンラーニング領域におけるエンジニアリング・マネージャーの年収レンジは、44万9,000~84万2,000ドル、マシンラーニングと推論研究分野におけるリサーチサイエンティスト(L6)では39万~90万ドル、AI/マシンラーニングのR&D部門におけるテクニカルディレクターでは45万~65万ドルというレンジだ(※一部のリンク先はすでに無効になっているが証跡として残している)。
年収1.3億円のAIプロダクトマネージャーの役割とは?
最大年収が90万ドルに上るAIプロダクトマネージャーには以下の役割が与えられる。1つは、エンジニアリング部門と連携して、マシンラーニング・プラットフォーム(MLP)の戦略的ビジョン、目標、主要成果指標、成功メトリックを定義すること。
また、ネットフリックス全体のマシンラーニング/AI専門家やアプリケーションエンジニアからのフィードバックを収集して、プロダクト要件を洗い出し、重要度を評価して、優先する投資領域を明確化すること。
さらには、アイデア出しから本格ローンチ、サポートまでのライフサイクル全フェーズで、プロダクトの成功を確保すること。そして、マシンラーニング・プラットフォームのユーザー向け教育とサポートプログラムを立ち上げなどが含まれる。
ここで言及されているマシンラーニング・プラットフォームとは、ネットフリックスのマシンラーニング/AI専門家が機械学習モデルの開発・展開・改善を簡単に行えるようにするプラットフォームのことを指す。
ネットフリックスは数年前にゲーム市場にも参入を果たしているが、上記AI/マシンラーニングのR&D部門におけるテクニカルディレクターの要件を見ると、本業の動画配信だけでなく、ゲーム領域でもAIを活用しようとしていることがうかがえる。
現在ネットフリックス・ゲームスタジオでは、これまで開発するのが不可能だったゲームをマシンラーニング/AI技術を活用し開発することを目指しており、そのためのR&Dチームを育成しているという。このR&Dチームでは、これまでにないゲームデザインやアーキテクチャを模索しており、テクニカルディレクターはこの取り組みで中心的な役割を担う。職務内容には、ゲーム技術の戦略立案、開発、プロトタイピングが含まれる。 【次ページ】米国における慢性的なAI人材不足
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