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- 2024/05/02 掲載
企業のAIツール活用「9カ月で6倍の超急増」、一方で「遮断」も577%増の深刻懸念
AIのトラフィックは6倍に急増、人気のアプリとは?
ChatGPTが登場して以来、企業におけるAI活用に関するさまざまな議論がなされてきたが、データが示すところでは、大手米企業のAI活用はすさまじい勢いで拡大を見せているようだ。米セキュリティ大手Zscalerが2023年4月から2024年1月にかけて同社のセキュリティプラットフォームZero Trust Exchange上で実施した「Zscaler ThreatLabz 2024AI Security Report」で明らかになった。
同調査の期間内、企業のAI・MLトラフィックは約600%増加し、月間トラフィックは2023年4月の5億2100万回から2024年1月には31億回に達した。2023年12月の休暇シーズンに一時的な落ち込みが見られたものの、2024年1月には再び急増したことが観察された。
Zscalerは、米セキュリティ大手企業の1つで大手企業への導入が多い。調査結果はあくまで同社の顧客を対象とした調査結果だが、米国大手企業のAI活用動向をある程度は反映したものになっているといえるだろう。
この調査は、どのAIアプリケーションがよく使われているのか、その詳細もあぶり出している。
AIアプリケーション別のアクセス数を見ると、ChatGPTが全体の52.23%を占めてトップとなった。2位は営業・マーケティングに特化したAIチャットボットのDriftで18.51%、これにOpenAIが7.82%で3位と続いた。OpenAIは、ChatGPT以外にもAPIや他のサービスも提供しており、それらの利用がこの数字に含まれていると考えられる。
4位にはライティング支援ツールのWriter、5位と6位にはカスタマーサポートなどに対応するチャットAI、LivePersonとBoldChat Enterpriseがランクイン。ビデオ通話の文字起こしに使われるOtter AIが7位となった。
一方、企業から送受信されるデータ量で見ると、「AIのGitHub」とも呼ばれるオープンソースプラットフォームのHugging Faceが57.1%を占めトップだった。ユーザーがAIモデルをホスティング・トレーニングできることから、企業ユーザーから多くのデータが集まっていると推察される。2位にはChatGPTが27.9%でランクイン。企業から比較的重いデータもChatGPTにインプットされているようだ。
このほかトップ5には、OpenAI(4.7%)、動画編集ツールのVeed(4.4%)、画像生成ツールのFotor(0.8%)がランクインした。
AIトラフィックの18.5%が遮断されている
ChatGPTを中心に企業におけるAI利用が拡大していることが明らかになったが、これらのAI利用が企業のポリシーに沿ったものであるかどうかは吟味が必要だ。なぜなら、この調査では同時に、企業におけるAIアプリケーションや関連ドメインのブロックも急増していることが判明したためだ。
企業のAI利用に関するポリシーや管理体制が整備されておらず、無秩序な利用が広がっていること、また承認されていないAIアプリケーションやAPIが社員によって利用されていること(シャドーAI)などが示唆されている。
上記ではAI・MLトラフィックが約600%増加したと述べたが、企業によるAI・MLトラフィックのブロックも577%の増加を見せた。AI・MLトラフィック全体の18.5%がブロックされており、その量は累計で26億件に上るという。
ブロックされているAI・MLトラフィックの内訳を見ると、ツール別ではChatGPTが最多となる。このほか、OpenAI(API)、不正検知AIプラットフォームであるFraud.net、CX自動化プラットフォームForethought、Hugging Face、ChatBot、Aivo、Neeva、HR向けプラットフォームのInfeed.ai、マーケティング向けAIプラットフォームJasperなどが上位にランクイン。
企業は、これらのツールの人気や有用性を認識しつつも、データ損失やプライバシーリスクに対する警戒感を強めていることがうかがえる。
ドメイン別では、AIを搭載したCopilot機能を備えるbing.comが全ブロックの25.02%を占めてトップ。このほか上位にはDrift.com、Quillbot.com、Compose.ai、Openai.comなども名を連ねている。 【次ページ】産業別の特徴、製造業はAI活用トップもブロック率は……?
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