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  • 2023/10/04 掲載

本塁打王「大谷翔平」が負うハンデとは、“ハンパない”貢献度でも過小評価されるワケ

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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MLB(米メジャーリーグ)でホームラン王となったロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手。現在はケガによって早期の二刀流復帰が待たれるところだが、次の注目焦点は大谷選手の移籍事情だろう。熾烈な争奪戦が予想されるが、大谷獲得を狙う各球団の思惑に、大谷選手がもたらす経済効果も盛り込まれていることは明白だ。だからこそ負傷前に「10年契約で総額5億ドル(約740億円)」とも報道されたわけだが、では実際のところ球団はどう評価するのだろうか。
執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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大谷翔平がもたらすハンパない経済効果とは
(写真:AP/アフロ)

「10年契約・総額740億円」の真相

 10月2日にMLBのリーグ全日程が終了し、エンゼルスが所属するア・リーグで、大谷選手のホームラン王が決定した。投手としても2ケタ勝利を上げ、まさに二刀流として大活躍したシーズンだった。しかし、ケガによりシーズン途中で離脱。新技術を用いた右肘の内側側副靭帯(UCL)の手術を行い、2025年の投手完全復帰および二刀流復帰を目指している。

 そして今季は契約最終年のため、エンゼルスとの契約更新が無い限りフリーエージェント(FA)となり、全球団との契約が可能になる。FA市場でも注目の的となっており、ロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・メッツ、ボストン・レッドソックスなどが獲得に乗り出すと予想されている。

 そんな大谷選手は、二刀流という現実離れしたプレーヤーとしてだけでなく、莫大な経済効果をもたらす選手としても評価が高い。地元有力紙ロサンゼルス・タイムズのビル・シャイキン記者は早くも2019年6月に、「大谷はメジャーリーグ入りしてわずか1年半の間に、投打に加え、経済効果をもたらす三刀流であることを証明した」と評価している。

 理論経済学が専門で、さまざまな経済効果を算出している関西大学の宮本 勝浩名誉教授は、2022年における大谷選手の経済効果が457億941万円であったと推定。これは、大谷目当てに日本から米国まで応援に行く日本人ファンや、球場に足を運ぶ米国人観客による経済効果をはじめ、試合中継の放映権料、年俸、グッズの売り上げ、スポンサーからの収入、日本でのCM出演料など、大谷個人の直接の効果と、1次・2次の波及効果を合計して算出している(注)

注) 観客数の増加率・消費額・グッズ購入をする観客の割合など詳しい算定方法や根拠については、こちらの記事を参照

 そして、2023年の経済効果は500億円を超えたと見られている。投手としても打者としても大活躍し、その上でこれだけの経済効果をたたき出す大谷選手だが、年俸(2023年)を見てみると、その額は3,000万ドル(約44億3,546万円)だ(図)。

画像
図:大谷 翔平の年俸一覧。実は過小評価されている?
Spotracなどを基に筆者作成)

 大リーグでは史上最高額に達したが、彼の動員力、物語性や将来性に鑑みれば、まだ過小評価ではないか、ということで、「10年契約で総額5億ドル(約740億円)」という話が負傷前に飛び出したわけだ。

 事実、前出のシャイキン記者は2019年の記事で、「2018年シーズンにルーキーであった大谷は、エンゼルスが彼に支払った報酬の少なくとも2倍以上のお金を球団にもたらした」と、極めて重要な指摘を行っている。つまり、大谷選手がもたらす経済効果が絶大なものであったにもかかわらず、過小評価される傾向が当時から存在したということだ。

大谷翔平が「過小評価されている」と言えるワケ

 先述のシャイキン記者の2019年の記事からは、大谷選手がもたらす経済効果の内容が詳細にわかるだけでなく、当時のMLB労使協定による25歳未満の外国人選手に対する報酬制約を考慮しても、安く評価されていたことが理解できるので、少し長くなるが引用しよう。
 球団は、大谷がエンゼルスにもたらした収入が具体的にいくらであったか公表することを拒んでいる。しかし、大谷がエ軍(エンゼルス)と契約して以降、新たに日本企業と6件のスポンサー契約が締結され、大谷が先発投手として登板した5つのホームゲームにおけるエ軍の観客動員は11%も上昇している。

 MLBのチケット平均価格が30ドル26セントであれば、大谷が投手として参加した試合1回あたりのチケット収入は60万ドル増加する。これには、大谷が打者として出場した試合や球場での食事・飲料・駐車場やグッズの販売による収入は算入されていない。MLBは昨シーズンに、現在最高の野球選手であり、エ軍の顔でもあるマイケル・トラウト外野手のジャージよりも多くのオオタニ・ジャージが売れたと報告している。

 (西海岸最大規模の)高級ショッピングモールである(カリフォルニア州)コスタメサのサウスコースト・プラザは毎年2200万人の買い物客が訪れるが、同施設のデブラ・ダウニング氏によれば、大谷が入団して以来、日本人客が増加した。観光ツアー業者はパンフレットの表紙に大谷を起用しており、大谷特集の番組を製作する日本のテレビプロダクションがサウスコースト・プラザでロケを行った。

 (エンゼルスが本拠地を置くロサンゼルス近郊の)アナハイム観光局の推計では、大谷のルーキーシーズンであった2018年に前年比4%増の15万7000人の日本人観光客が来訪した。
 大谷人気が爆発する現在、経済効果の数字は今後さらに飛躍的に伸びることは想像に難くない。では、球団側はどのようなロジックで選手を評価するのだろうか。 【次ページ】球団はどう評価? 大谷 翔平が負う「ハンデ」とは

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