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- 2025/04/29 掲載
年1,000万本のスポーツ動画を「自動生成」、もう起きているAIスポーツ革命
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
AIで激変するスポーツエンタメ市場
スポーツエンタメ業界のさまざまな側面がAI・生成AIにより大きく変貌を遂げつつある。その1つがコンテンツ配信と、それによるファンエンゲージメントの強化だ。米国の大学スポーツにおける主要カンファレンス(競技連盟)の1つBig 12 Conferenceは、WSC Sportsの支援を受け、同リーグのデジタルプレゼンスを向上させる取り組みを加速。
連盟に加入する16の大学向けにフットボール、男子バスケットボール、女子バスケットボールのカスタマイズされたビデオコンテンツを作成し、SNSや同カンファレンスのコンテンツプラットフォーム全体に即座に配信できる体制を整えた。
この仕組みは、試合の短縮版動画やハイライト、個別選手クリップなどを自動作成できるもので、これまでに550時間に及ぶ9500以上の動画が作成された。これによりBig 12のYouTubeチャンネルは、投稿数で前年比5290%、動画視聴数で2212%、獲得登録者数で3333%という飛躍的な成長を達成したという。
こうしたAI活用による顕著な成長は、Big 12だけでなく業界全体の傾向として注目を集めている。実際、Stats Performが実施した「2025年ファンエンゲージメントとマネタイゼーション調査」によると、すでにAIを採用している組織は、まだ投資していない組織と比較して、コンテンツの商業化が3倍容易になっていることが明らかになっている。
年間1000本以上のハイライト動画の生成も
このようにスポーツコンテンツ作成や配信のあり方を大きく変えるWSC Sportsのテクノロジーは一見に値するだろう。
中核となってきたのは縦型コンテンツ配信用の「Stories」やコンテンツ収益化システムだが、生成AIを活用した複数言語生成ツールや動画生成ツールとの連携により、著しい躍進を見せている。
「Stories」は、インスタグラムやTikTokのような縦型動画体験をスポーツチームや放送局の公式アプリに組み込む技術。ファンがわざわざSNSに移動しなくても、お気に入りチームのアプリ内で縦型コンテンツを楽しめるようになった。縦型コンテンツ需要は急速に拡大しており、WSC Sportsの顧客の間でも生成AIツールを活用した縦型コンテンツ制作が急増。2024年には前年比81%増となる400万本以上の縦型ハイライトコンテンツが制作された。
同社はAI開発チームを立ち上げ、現在スポーツに特化した生成AIモデル「大規模スポーツモデル(LSM)」の開発を進めている。このモデルを活用し誕生したのが、試合ハイライトに複数言語の解説を自動生成するAI音声ツールとスポーツ記事を読み込み関連動画を自動制作するツールだ。2024年だけで同社のAIツールにより、縦型コンテンツを含め1020万本ものハイライト動画が制作された。
【次ページ】スポーツ広告におけるAIの影響
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