- 2007/01/29 掲載
【連載】今さら聞けない「エンタープライズ2.0」 / 第1回(3/3)
そうではない。たとえば、人の行動履歴を記録、分析して、パターンを分析して、結果を返す。それくらいであればできそうである。行動履歴とよんでいるのは、人がどんなファイルを作って、どんなファイルを見ているのかというログである。
Amazonで買い物をすると、「その本を買った人は、ほかにこんな商品も買っています」というおすすめが出てくる。それをもっと発展させていくイメージである。
同じ部署の人は読んでいるのに、あなただけ読んでいないドキュメントがあれば推薦をしてくれたり、ヒットした検索結果からほかの人がよく参照しているドキュメントを推薦してくれたりする仕組みである。
また、ログをとることはセキュリティの面から考えても有効である。昨今、企業における大きな話題は情報漏えいであった。ログをとることによって誰がそのファイルにアクセスしたかが記憶される。ほかの人の行動履歴と照合すれば、本来見るべきではないファイルを見ている人を探すこともできるかもしれない。
セキュリティの観点からも有効で、情報の洪水のなかからあなたに必要な情報を推薦してくれる、そんな仕組みがEnterprise2.0のひとつの姿ではないかと考える。これは、「SNSやブログを導入して、アイディアを出しあい、会社の未来を作っていく」、そんな未来に比べれば確かに地味である。しかし、その一見地味な世界にこそ、企業としての生産性を向上させる鍵があるのではないだろうか。
●著者プロフィール
在賀 耕平(Kouhei Ariga)
リアルコム
プリンシパルコンサルタント
慶應義塾大学商学部卒業。
リアルコムにおいて情報共有、ナレッジマネジメントコンサルティングを大手商社、大手SIer、応用地質等の国内大手企業に対して手がける。
共著に『SNSビジネスガイド』(インプレスジャパン)がある。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR