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  • 2024/03/06 掲載

ガソリン車全廃は「地獄へのシフト」、トランプ大統領復活でEV・テックはどう変わる?

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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米国時間の3月5日火曜日、米大統領選挙は候補者選びのヤマ場を迎える。共和党の最有力候補は前大統領のドナルド・トランプ氏だ。米国では、11月の本選でも勝利するのはほぼトランプ氏になるだろう(ほぼトラ)との見方が強まっている。同氏のテクノロジー分野における不規則発言が目立つが、大統領に返り咲いた場合、半導体やEV、再エネ電力網、デジタルドル、SNS、中国とのIT競争などテクノロジー分野でどのような政策を実施するのか。最新の発言や、1期目の「実績」を基に予測する。
執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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大統領候補トランプ氏のテクノロジー観から再選後の政策を占う
(Photo:Evan El-Amin / Shutterstock.com)

日本排除もあり得る、政策の基準は「アメリカファースト」

1ページ目を1分でまとめた動画
 トランプ氏は今回の大統領選において、EV敵視や、中央政府デジタル通貨(CBDC)、すなわちデジタルドルの否定などを続けている。そのため、テクノロジーの進化を受け入れない、守旧的な考えを持つ老人と見られることもある。

 だが、2017年6月にテック大手の経営者を集めた「最先端技術リーダー会議」で、トランプ氏は「次世代テクノロジーのブレークスルーは我々の生活と国の姿を変容させ、その分野で米国をナンバーワンにするだろう」と演説するなど、必ずしもイノベーションを否定しているわけではない。

 言い換えれば、アメリカファーストの基準から外れる場合、中国であれ、同盟国の日本・韓国・台湾・ドイツであれ、関税率引き上げや貿易障壁で排除に動く。なぜなら、トランプ氏はイノベーションを、自由貿易・グローバル化推進や環境保護のためではなく、「米国人労働者やその家族のために莫大で新たな富を創造する」ためのものだと規定しているからだ。

 それが米国人有権者にウケが良い。「大卒の都市部エリートの権益を代表する党」へと変貌する民主党に代わって、「労働者の権益を代表する党」としての共和党への支持を増やすと考えられているのだ。

【半導体政策】台湾・中国への圧力は?

 米国の産業を将来的に圧倒するかもしれない国や地域に対し、容赦なく圧力をかけるのが、トランプ前大統領だ。

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トランプ氏が大統領に返り咲いたら…半導体やEVなどテック政策はどうなる?
(Photo/Shutterstock.com)

 たとえば、2023年7月のインタビューで「大統領に返り咲いた後、中国が台湾を侵攻した場合、台湾を軍事的に守るか」との質問に対し、直接答えずに、「台湾は米国の半導体ビジネスを全部奪ってしまった。我が国は、自国で使う半導体をすべて自給していたのに、もはや我々が使う半導体の90%は台湾で製造されている」と述べ、米国の経済的利益を侵食する貿易相手として、台湾を論じた。さらに、「米国は台湾を止めるべきだった。(台湾製半導体に)関税を課すべきだった」と付け加えた。

 ただ2023年9月のNBC放送とのインタビューでは、台湾有事の際に米軍を派遣することについて、否定はしなかった

 とは言え再選されれば、台湾防衛の代償として、台湾半導体大手のTSMCが400億ドル(約6兆円)を投じて西部アリゾナ州に建設している工場のさらなる拡張を迫る可能性がある。そのため、2030年までに世界の先端ロジック半導体の約20%を米国内で生産するとのバイデン現政権の目標は、第2期トランプ政権でさらに強化されていくのではないだろうか。

 一方、中国に対しては、トランプ前大統領が1期目の在任中である2019年5月に、華為技術(ファーウェイ)を国家安全保障上の脅威とみなし、同社通信機器の米国内での販売を禁じる大統領令に署名した。2020年5月にはさらに踏み込んで、ファーウェイが米国の技術やソフトウェアを用いて米国外で半導体を設計・製造することについても禁止。こうして、米半導体産業の新たなライバルである中国企業を萌芽のうちにつぶそうとしたのだ。

 ジョージタウン大学で政治学の教鞭を執るエイブラハム・ニューマン教授と、ジョンズホプキンズ大学で国際関係を教えるヘンリー・ファレル教授は2023年10月にニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、「(バイデン政権がトランプ前政権から継承して発展させた)対中半導体禁輸政策は、第2期トランプ政権によってさらに厳格化されるだろう」と予測。具体的には、「(世界で需要が高まる)米国設計のAI向け特殊半導体にとどまらず、あらゆる米国の先端テクノロジーに中国がアクセスすることを禁じる」ことが予想されるという。 【次ページ】【EV政策】日本の自動車メーカーに「追い風」か?

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