• 2007/08/02 掲載

シンプルさをキーワードに複雑化するシステムを支える最適な運用管理の実践例を紹介

「システム運用管理の処方箋セミナー~導入事例から見る解決策」(主催:ソフトバンククリエイティブ)

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2007年5月29日(火)、東京 浜松町の世界貿易センタービルで、「システム運用管理の処方箋セミナー~導入事例から見る解決策」(主催:ソフトバンククリエイティブ/共催:NEC)が開催された。ビジネスの成長に比例してITシステムの複雑化は進み、現在は内部統制対応という新たな課題も加わっている。セミナーでは、運用管理に求められる要件が24時間365日の安定稼動から運用プロセスに対する統制強化へと高度化するなかで、求められる最適な運用管理とは何かをテーマにセッションが行われた

複雑化・高度化されたシステムの運用管理が抱える課題

【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
セミナー当日は多くの来場者が集まり
関心の高さを表した
 現代におけるITシステムの運用管理は、かつてのように「止まらないことが第1要件」といった単純なものではもはやない。複数のしかも目的も役割も異なるシステムが社内外に立ち上げられ、それらがネットワークで結ばれている環境下での運用管理とは、単に1つ1つのサーバの稼働を維持する作業にとどまらない。物理的なハードウェアや事業部門の壁を超えて、それらが構成するシステム全体を最適な状態に維持するといったレベルの発想が必要になってくるのだ。

 具体的には、ある1つの業務システムの動作がトリガーとなって、関連するいくつものシステムの間でデータの受け渡しや処理のプロセスが発生する。その一連のワークフローやインシデント時の対応体制、セキュリティ確保といった細部に至るまでが有機的に連携し、最適の処理をもっとも効率的な手順で実行していくことが望まれる。

 だが、実際にWebシステムに異常なアクセス集中やアタックが起こったとき、ネットワークの切断やデータベースの保護を人手で行っていたら間に合うだろうか。サービスレベルを向上させようとしてソフトウェアのバージョンアップを行っても、各部署のサーバへのインストールが人任せだったら、かえってバージョンの混在を招くだけにならないだろうか。

 従来の属人的なオペレーションで全体を管理するには、現代のシステムはあまりに高度かつ複雑であり、インシデント対応に許される時間は限られている。もはやシステム運用管理に特化した、専用のITソリューションによる自動化と統合管理以外に、現実的かつ有効な解はないのである。今回のセミナーでは、大規模ミッションクリティカルなシステムで豊富な実績を持つNECが提唱するこれからの運用管理の将来像と具体的なソリューションの紹介と、現在データセンター事業において好調な伸びを示しているNECネクサソリューションズでの実践例が紹介された。

今、時代が求めているのは
「全体統制型システム運用管理」
全体統制の実現には、シンプルさが重要

【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
NEC
第一システムソフトウェア事業部
グループマネージャー
山崎正史氏
 最初のセッションのスピーカーとして立ったNEC 第一システムソフトウェア事業部 山崎正史氏は、「今、時代が求めるシステム運用管理とは~全体統制型システム運用管理」と題して、同社が提供する統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」を中心に紹介した。

 山崎氏はまず、ITシステム運用管理に関して企業の中にさまざまな懸念が発生していることを指摘。「自社の情報システムの安定稼働に関して、ユーザーの8割が不安を抱いており、人々はサービス品質の担保を求める運用管理を望んでいる。さらに2009年3月期からのJ-SOX法施行に向けて、コンプライアンス対応とそのためのコストも懸念材料だ」と語った。

 山崎氏は、そうした環境下で有効なキーワードを「全体統制型システム運用管理」として提唱。従来の個別統制から企業システム全体視点での管理と統制が必要であると主張し、それを実現するソリューションとして「WebSAM」が有効であると説いた。「WebSAM」は全体統制をきわめてシンプルな運用で実現できる画期的なソリューションであり、「システムのリスクや現状を可視化」し、「的確な判断をナビゲート」、「自動化により運用を改善」するといった、システムの運用サイクルを継続的に改善していく仕組みを提供する。「これまではインシデント対応で連絡不足や伝達経路で生ずるタイムラグなどが生じやすかった、部門間=システム間の溝をソフトウェアによって自動化し、なおかつ運用管理の過程で蓄積されたナレッジを活用するPDCAサイクルを実現することが可能だ」と述べた。

事業拡張に伴い「WebSAM」を採用した
統合監視システムを導入
データセンター運用の効率化とサービス向上を目指す

【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
NECネクサソリューションズ
サービス開発事業部
サービス設計部長
澤田誠氏
 2番手として壇上に立ったNECネクサソリューションズ サービス開発事業部 澤田誠氏は、「データセンター構築事例から見るシステム運用管理のポイント」と題してセッションを展開。自社におけるデータセンター構築のケーススタディを通じて、運用管理の重要点を解説した。

 冒頭、澤田氏は「システムの運用監視を、かつては個別のツールやまちまちの監視体制で行うケースがほとんどだった。しかしこれは非効率であり、監視レベルも現代の要求に応えるものではない。統合運用管理センターを設けて、各拠点のデータセンターを集中的に監視・管理することが必要だ」と述べた。同社では、集中監視体制による効率化と冗長化、耐災害性の向上を図るべきとのポリシーのもと、「WebSAM」を自社の構築する統合監視システムに採用し、従来導入していた他社製監視ツールから切り替え、2007年4月から順次適用を開始したという。

 採用にあたり、NECネクサソリューションズではデータセンターの現場での厳しい評価を行い「WebSAM」に対して機能強化を要望。NECグループ一体となって強化された「WebSAM」では、数千台規模のサーバを管理できるスケーラブルな多段構成への対応、監視無停止を目的とした監視機能の正副二重化構成や監視機能自体の動作監視(健全性機能)など信頼性の高い監視機能を実現しているという。

 澤田氏は「当社では、データセンター事業を基盤にして、独自の高度なアウトソーシングサービス『NEXSOURCING®』を提供している。今回ご紹介した統合運用管理センターによるシステム運用サービスはもちろん、IT統制支援サービスや運用クリニック®など、多彩なメニューを提供しているので、ぜひご活用いただきたい」と自信をのぞかせた。

シンプル運用管理によるリソース最適化の
自律運用をデモンストレーションで実演

【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
NEC
第一システムソフトウェア事業部
シニアマネージャー
藤田朋生氏
 最終スピーカーとして登場したNEC 第一システムソフトウェア事業部の藤田朋生氏は、「多彩なニーズに即応するには~統合管理の有効性」と題して、運用管理の現状と課題を紹介した。まず藤田氏は、コンプライアンス対応、ITサービス品質向上のいずれもが、NECの提唱する「全体統制」によって実現できると説明。「とりわけコンプライアンス対応では、J-SOX法で重要視されている“アプリケーション変更時のリスクコントロール”が大切だ。そのためには開発から運用までの変更プロセスの統制が必要となる。また、サービス品質という点では、システム個別の統制ではシステム全体の可視化・最適化が難しい。『全体統制』によりITILベースの『運用管理プロセス単位』での管理を実現すれば、システム全体の横断的な対応が可能になり、サービス品質も向上する」と述べた。

 セッション後半は、『全体統制』の中核となる統合管理ツール「WebSAM MCOperations」を紹介。業務の観点による障害監視とナレッジデータベースによる復旧支援で、リソース不足を予知し、負荷変動に合わせてサーバリソースを自動配置する事例を、詳細なデモンストレーションで展開した。複雑な運用管理作業を“WebSAMフレームワーク”による統一されたGUIで容易にできることを具体的に見せる事で、シンプルに運用の理解を深めた。

 これまでのITシステム運用、とりわけ内部統制対応を含むオペレーション体制の構築については、概念論的なフェーズにとどまる例が少なくなかった。しかし今回のセミナーでは、「WebSAM」という具体的なソリューションとその活用事例が出そろったことで、明確な今後の対応指針を示すことに成功したといえよう。会場となったセミナールームの満席ぶりを見ても、ITシステムの運用管理に携わる人々がこの「WebSAM」に寄せる関心の高さが伺える催しとなった。

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