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  • 2008/04/15 掲載

中小企業の戦略的情報システム構築術(最終回):ガンジーに学ぶビジネスプロセスマネジメント

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コストに対する考え方がシビアな中小企業は、どのように情報システム構築を実施していくべきなのか。インストラクション 代表取締役社長 神田祐治氏の連載第2弾「中小企業の情報システム構築術」の最終回となる第6回は、ビジネスプロセスマネジメントとは何なのかについて解説する。

インストラクション 神田氏執筆一覧

ビジネスプロセスマネジメントを行うための2つの課題

中小企業の戦略的情報システム構築術
 戦略的情報システム構築術とは、企業体質を強化するために、業務の「仕組みづくり」を効果的に行う技術である。この「仕組み」をビジネスプロセス、そしてこれを達成する活動をマネジメントとすると、企業継続をはたす経営活動とは、「ビジネスプロセスマネジメント」そのものだということになる。

 中小企業が「ビジネスプロセスマネジメント」に真剣に取り組むのは素晴らしいことだ。なぜなら、それによって自らの企業体質を強化でき、内部統制の整備も進められるからだ。しかし、その実現には行く手を阻む数多くのハードルが待ち受けている。

 中でも最も大きな課題が2つある。1つは、高度なITノウハウをもつ人材が社内には圧倒的に足りないということである。2つめは、情報システムの構築対象がより複雑に細分化したために、その定義が非常に難しくなってきたことだ。情報システムの構築は、今や、1人2人の専門家では不可能な時代となっている。足りない人材と情報システムの広範囲な対象領域は中小企業に新たな解決方法の模索を迫っている。

情報リテラシー強化で「ヒト」の力を高める

 「ビジネスプロセスマネジメント」では、情報とコンピュータを活用する技術が基礎となる。そして、この技術は常に磨き続けることを求められる。

 企業戦略上でコアとなる人材の不足については前回の「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)」の説明でも述べたが、IT統制を遂行する上で、「BPO」を導入するにしてもその結果は社員全員のビジネスの基礎技術によって大きく変わってくることに注意したい。優秀なリーダーと同様、IT統制には優秀なスタッフも重要だ。

 情報を使いこなす能力のことを「情報リテラシー」という。経験や媒体から得られる大量の情報の中から必要なものを取り出せる能力や、それらを使えるものに加工するといった情報に関わる基礎的な知識や技能のことである。

 同様なものに、媒体を使いこなす能力「メディアリテラシー」と、コンピュータをはじめとするIT技術を使いこなす「コンピュータリテラシー」とがある。最近では、「セキュリテイリテラシー」という新語が出現するほどセキュリティの知識が問われるようになってきている。大企業ではこのような各種の「リテラシー」教育に大きなコストをかけている。それは、内部統制のためには社員教育は欠かせないマネジメントだと知っているからだ。

 中小企業が本当に力をつけたいと考えるなら今の数倍のエネルギーを社員教育にかける必要がある。各部門に存在するアプリケーションソフトの習熟研修にとどまらず、広く「リテラシー」を高めるような社員教育が望まれる。なぜなら、中小企業にとってすぐ増やせる資源は「ヒト」「モノ」「カネ」のうち人材しかないからである。

情報システムの対象

 IT(情報技術)の進化と普及は、仕事のやり方にとどまらず、企業活動そのものにも重大な変化をもたらした。特筆すべきは、インターネットの登場だ。これによって、OA(オフィスオートメーション)化という部分最適の分野から、IT化という全体最適の世界に情報システムのターゲットは広がった。つまり、社内の合理化が目的であった情報システムは、顧客や社会全体との関わり方を最適化しようとするレベルにその役割を大きく拡大したことになる。

 現代では、20年前なら考えられなかったほどの安価なPCや携帯電話からインターネットを経由して、業務システムにどこからでも簡単にアクセスできるようになった。このような進化は、従来、OA化の対象ではなかった業務を新たな情報システムの対象へと変化させた。

 仕事の流れをシステム化するだけで良かったことが、今は企業内外の「人と人」、「人とモノ」、あるいは「モノとコト」を効率的に連動させなければならない状況にある。それは、情報システムにとって「ビジネスプロセス」そのものが構築の対象になってきたからだ。

 ビジネスプロセスを可視化して、改善していくことが「ビジネスプロセスマネジメント」である。すなわち、仕事の流れを「構造化」、「標準化」、「可視化」、「自動化」をするということだ。

 従来のような、「合理化」、「省力化」は現代の情報システムのメインテーマではなくなっている。複数の仕事の工程同士をスムーズに連携させるような、広範囲、高密度の構築領域が求められるのが現在の情報システムである。その対象はもはや拡大しても減少することはないと断言することができよう。

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