ブルー・オーシャン戦略とは、今はまだ存在していない市場‐つまり、競争がいまだ存在していない未知の市場空間を作り出す戦略である。そこには競合他社は存在しないため、企業は自らが創出した「青い海」を自由に泳ぐことが出来る。
著者達は、競合他社が多数存在し、その中で競争優位を築こうとする既存の戦略論を「赤い海の戦略」とする。まず「赤い海(レッド・オーシャン)の戦略」とは、既存市場の中(赤い海)で、お互いに獲物を奪い合い、血で血を洗う戦略のことを意味する。
前回までに述べた
ポーターや
バーニーの戦略論は、「既存の産業構造内でのポジショニングと差別化」や「他社に対する自社資源の競争優位性」フレームワークから出発した理論であるため、「赤い海の戦略」(レッド・オーシャン戦略)と呼ぶことができるだろう。他方、競合他社の存在しない新しい市場を開拓する戦略、これが「青い海の戦略」(ブルー・オーシャン戦略)である。これは、まだ存在していない市場を創造することによって、高い収益性・成長性を創出する戦略である。つまり、他社との競争関係の中で自社の競争優位を創り出していこうとする既存の競争戦略論とは全く異なるフレームワークによる戦略論である。