- 2025/07/10 掲載
企業倒産が12年ぶりの高水準に 何が企業を追い詰めた?
倒産5000件超えの内訳は?人手不足や物価高が直撃
調査によると、2025年上半期(1~6月)に全国で発生した倒産件数(負債1,000万円以上の法的整理)は5003件にのぼり、前年同期比で2.4%増加した。上半期としては3年連続の増加となり、2013年(5310件)以来、12年ぶりに5000件台を記録した。倒産件数の増加とは対照的に、負債総額は6776億8,700万円(前年同期比24.9%減)と2年連続で前年を下回った。特に負債額5,000万円未満の小規模倒産が63.2%を占め、2000年以降で最も高い構成比となった。
業種別では、全7業種中4業種で前年を上回った。最も多かったのはサービス業(1329件、前年比8.2%増)で、2000年以降で最多を更新した。小売業(1078件、同4.8%増)は2年連続で1000件を超え、建設業(986件、同7.5%増)は4年連続の増加となった。中でも、小売業における「飲食店」の倒産は458件に達し、上半期としては過去最多を記録した。
倒産の主因では「販売不振」が4117件と最も多く、全体の82.3%を占めた。構成比としては2000年以降で最高水準となり、業況の厳しさが浮き彫りとなった。このほか「経営者の病気・死亡」(164件)も高水準を維持し、「放漫経営」(84件)や「設備投資の失敗」(28件)なども前年を上回った。
倒産態様では、破産が4698件で最多となり、清算型倒産の比率は97.5%に達した。一方、再生型倒産は127件にとどまり、民事再生法の適用件数(124件)は法人・個人ともに減少。法人での適用は24件にとどまり、2000年以降で最少となった。
業歴別では、「30年以上」の企業による倒産が1578件(構成比31.5%)と最も多かった。老舗企業(業歴100年以上)の倒産は61件で、前年(74件)より減少したものの、依然として高水準にある。これに対し、業歴10年未満の新興企業の倒産は1511件と、4年ぶりに前年を下回った。
地域別では、9地域中6地域で前年を上回った。最多は関東(1694件)だったが、前年からは2.2%減少した。一方、近畿(1309件)は2012年以来13年ぶりに1300件を超え、東北(314件)は16年ぶりに300件を突破した。最も増加率が高かったのは四国(105件、前年比19.3%増)だった。
ゼロゼロ融資後・人手不足・物価高などが影響
倒産動向としては、「ゼロゼロ融資後倒産」が316件と3年連続で300件を超えた。これは、コロナ禍に政府支援のもと実施された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を利用した企業が、返済開始時期を迎えて資金繰りに行き詰まり、経営破綻に至ったケースを指す。「人手不足倒産」は202件にのぼり、初めて200件台に達して過去最多を更新した。これは、従業員の確保ができずに事業継続が困難となったケースで、採用難や高齢化、人件費の高騰などが背景にある。
「後継者難倒産」は267件で、前年に続き高水準を維持した。主に中小・家族経営の企業において、経営者の高齢化が進む中、親族・社内に承継者が見つからず、事業継続を断念したケースが中心となっている。
「物価高倒産」は449件で、2年連続の400件超となった。原材料費やエネルギーコスト、物流費、人件費などの高騰が企業収益を圧迫し、価格転嫁が進まなかった企業を中心に倒産が相次いだ。
帝国データバンクは今後の見通しとして、ゼロゼロ融資の返済本格化や人件費・原材料費の高騰によるコスト圧力が中小企業に重くのしかかると指摘。月別件数は2025年5月に36カ月連続増の記録が止まったものの、6月は前年比で7.7%増となるなど、倒産件数は「高止まり」の状況にあると分析している。
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