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- 2025/07/29 掲載
破天荒AI「Grok」がつまらなくなる…マスク氏があえて優等生「ChatGPT」化を選ぶワケ
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
Azureにも追加、急拡大する「Grok」の市場シェア
生成AIの利用拡大が止まらない。米市場調査企業Similarwebの報告によれば、ChatGPTなどOpenAIのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)への1日当たりの訪問数が、3月末から5月初旬にかけて1億5000万回から1億9000万回へと27%上昇した(図1)。
すべてのAIプラットフォームの1日当たりの訪問数の合計が2億4000万回であることを考えると、その8割近くを独占するOpenAIの「ぶっちぎり」の強さが明白だ。だが興味深いことに、Grokも2月下旬から急速に伸び、5月初旬の訪問数が800万回となった。
別の調査企業のFirst Page Sageの報告によると、4月17日時点のChatGPT(同じ技術を使うマイクロソフトのCopilotを除く)の市場シェアが59.7%と、前四半期比8%増であったのに対し、Grokのシェアはわずか0.8%ながら、伸び率が12%と、ChatGPTの成長率を4ポイント上回ったのである。
こうした中、OpenAIに対しておよそ14億ドル(約2,028億円)を投資するマイクロソフトは5月19日に、「弊社のクラウド基盤Azureにおいて、GrokをAIマーケットプレイスに追加する」と、年次イベントの「ビルド」で発表した。
同社のサティア・ナデラCEOは、シアトルの会場で上映されたマスク氏への動画メッセージで、「マイクロソフトの開発者カンファレンスであなたを(AIマーケットプレイスに)お迎えできることは、素晴らしい」と語りかけた。Grokの実績と認知度が急上昇し、ChatGPTの有力なライバルの1つに育ちつつある。
【次ページ】Grok vs ChatGPT、全然違う「評価の中身」
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