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- 2025/09/04 掲載
ドコモ前田社長を直撃、携帯バトル「完全勝利」にかけた“ある戦略”から見えた本気度
連載:デバイス新潮流
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、Web媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
ネットワーク品質向上の取り組みは継続
前田氏は社長就任時のあいさつで、まず取り組むべきこととして「ネットワーク品質の向上」を挙げていた。Sub-6GHz帯を利用する5G基地局の増設、既存基地局のチューニングに注力して取り組んだ結果、たしかに通信品質は向上している。SNS上での不満の声も、一時期ほど目にしなくなった。前田氏は、「まだ課題はあるが、良くなったとは思っています。引き続き今年も来年もやっていかなければいけないという認識ですが、一応前進はしました」と成果があったとの認識だ。
それでも調査会社Opensignalの評価ではKDDI、ソフトバンクには及ばない。Opensignalの調査については、もの申したいところもあるようだ。他社が停波した3Gを、ドコモはまだ提供している。また、ドコモは低容量プラン「irumo」(新規申し込みは終了している)のユーザーが調査対象に含まれている。データ容量の上限に達したユーザーは通信速度が落ちるので不利だ。一方、auやソフトバンクで同じユーザー層となるサブブランドは調査対象に含まれていない。
「測定方法をどうこう言うつもりはないが、現時点でも、出ている数値ほどの差はない」と前田氏は考えているが、他社の高品質アピールを、指をくわえて見ているわけにはいかない。
昨年から注力しているSub-6GHz帯の基地局増設は、今年度も同じスピードで進め、今年度中に他キャリアと遜色ない数になってくるという。後手に回っていた4G周波数帯の5G転用も並行して進めていく。
また、これまで基地局装置は国産メーカー製を優先していたが、5G基地局にスウェーデン・エリクソン、フィンランド・ノキアの装置を増やすと報道されている。
前田氏は「今まで複数ベンダーの装置が入り乱れていたところが、市町村レベルだと思うが1つのベンダーで構成することで性能が出やすくなる。オペレーションも効率化されていく」と説明。「早い段階で他キャリアとほとんど差がない状態を作っていけるのでは。投資はずっと続けていくので、ある時点で1位に返り咲くことは可能だと思っている」と語った。
とはいえ、「今年度中」「絶対(1位を)獲る」といった強気な発言は控えている。
「昨年そう言っても誰も信用していませんでした(苦笑)。大変なことがよく分かりました。通信品質は、何か1つ頑張れば向上するという話ではないことは理解しているつもりです。まだまだ頑張らなければいけないと思っています」(前田氏) 【次ページ】他キャリアと明確に差別化するための“あるプラン”とは
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