- 2025/10/23 掲載
【単独】元マイクロソフトの澤円氏が断言、AI時代は「やりたい仕事だけやればいい」
AI時代に求められるマインドセットは「意思」
「AIが人の仕事を奪うのか」という問いは、私が講演や取材の場で最も多く受ける質問のひとつです。新しい技術に対して人はしばしば拒否反応を示します。かつては自動車が「悪魔の乗り物」と呼ばれたように、また「インターネットは趣味の道具にすぎない」と切り捨てる人がいたように、歴史を振り返れば同様の事例はいくらでも見つかります。しかし重要なのは、その拒否感情そのものではなく、それをどう乗り越えるかという点です。
テクノロジーが進化することで、消費者のニーズはますます細分化していきます。かつては「20代男性向け」といったカテゴリーで商品やサービスを企画すればよかったのですが、今は「朝の時間を大切にしたい人」「自宅でリラックスしたい人」といった個々の行動や価値観にまで寄り添わなければ、モノは売れなくなっています。究極の「個の時代」、すなわち個別最適化の時代が到来しているのです。
ビジネスはこの個別最適に応えなければなりません。しかし、個別対応は「規模の拡大」が難しく、具体的な解決策は提示した途端、すぐに陳腐化してしまいます。だからこそ重要なのは「抽象的に考える力」です。概念や本質を捉え、変化に適応できる柔軟な思考を持つことが欠かせません。
ビジネスを「社会課題を解決する営み」と捉えるならば、人間中心の課題解決手法であるデザイン思考が大きな意味を持ちます。デザイン思考を通じて「自分たちは何の課題を解決するのか」を突き詰めていくことが必要なのです。
そのうえで、AI時代に最も問われるのが「意思」です。生成AIは人の仕事を奪う存在ではなく、「使いこなせる人に仕事を集中させるインフラ」になりつつあります。デジタル化が進んだ今、生成AIは単なるツールを超えて新しい基盤となり、そこに自分の仕事をどう乗せるかで成果も報酬も大きく変わってきます。
逆に言えば、意思を持たずに受け身でいる人の仕事は、AIや他者に取って代わられてしまうのです。
実際、ビッグテック企業の経営者からは「ホワイトカラーの仕事がAIに取って代わられつつある」との声が聞かれます。これは、雇用全体が消滅するという話ではなく、仕事内容が変わるということだと私はみています。その変化に柔軟に対応できるかどうかが分かれ目なのです。 【次ページ】「やりたいこと」に多くの時間を投資する
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