- 2025/11/07 掲載
「AI PCは不要」と言う人が知らない“真実”、インテルと日本HPが解説するNPUの可能性(2/2)
Windows 11の買い替え需要の〇〇%がAI PC
AI PCは実際のビジネス現場にどう展開していくのか。日本HPではすでにハイエンドモデルからエントリー機までAI PCを順次拡大し、近い将来ほとんどのラインナップをAI PCに切り替える計画を打ち出している。日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部 部長 岡宣明氏は、「米Futurum Groupの調査によると、Windows 10から11への移行に伴い、買い替えのタイミングにある企業の中で62%のお客さまがAI PC導入を計画されています」と語る。
その背景にあるのが「TOPS」(Tera Operations Per Second)という指標である。AI演算性能を示すこの数値は、40TOPSを境にマイクロソフトの「Copilot+ PC」が位置づけられている。岡氏は「40TOPS以上なら、Copilotをローカルで動かせます。今後はアプリがAI PCに最適化され、性能差が明確になります」と説明する。
では、一般のオフィスユーザーにとってどんなメリットがあるのか。特に大きいのがパフォーマンスだが、中でもセキュリティ関連製品の恩恵が大きいという。ウイルス対策や不正検知ソフトはすでにNPUを活用し始めており、従来ならCPUやGPUのリソースを奪っていた処理がNPUにオフロード(迂回)される。その結果、PC全体のパフォーマンス低下を防ぎつつ、電力消費も抑えられる。
また、日本HPはハードだけでなく、利用体験を高める独自ソフトやサービスも強化しているという。「HP AIコンパニオン」は自然言語でPC設定やトラブルシュートを行える無償アプリであり、サポート人員が少ない企業でもユーザー自身が問題解決できる仕組みを提供する。
また、覗き見をAIで検知して画面を自動的にぼかす「Sure View」や、NPUを活用した高品質なビデオ会議機能も実装。ローカルAIならではのリアルタイム処理を活かしているとアピールした。
ワークステーション分野でもAI PCの価値は高い。日本HPのZシリーズでは3D CADや解析ソフトのような高負荷アプリに対応し、ローカルの大規模言語モデル(LLM)を利用した設計支援など、クラウドに頼らない高度な使い方が想定されているという。
日本HP パーソナルシステムズ事業本部 ACSビジネス部 ワークステーションプロダクトマネージャー 柄津佑輔氏は「GPUやNPUを活かしてエッジ側で推論を行えるのが強みです」と述べ、設計・開発の現場でもAI PCが浸透しつつあることを強調した。
AI PC普及後に重要性を増す「あるポイント」とは?
AI PCが普及するほど重要性を増すのが、導入後の運用とセキュリティである。ローカルでAIを処理できるという特性は利便性の裏返しとしてリスクも伴うからだ。日本HPはこの点においても独自のサービスと技術で対応を進めているという。日本HP パートナー営業統括 営業企画本部 ソリューションビジネス推進部 部長 川喜田一広氏は「AI PCは便利ですが、もし端末が盗まれたり紛失したらどうなるのかと不安に思うお客さまも多いのです。そこで、オフライン環境でもリモートでロックやワイプができる『Wolf Connect』を提供しています」と説明する。
電源が切れていても専用チップが通信を続けるため、紛失や盗難時にも情報漏えいを防げる仕組みだ。
AIの進展に合わせて、それを業務に活かすための土台を整えることは重要な要素だろう。次世代の「標準」に向けて着実に準備を進めていく必要がありそうだ。
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