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  • 2008/09/19

内部統制最前線(1):東京ガスのERMへの取り組み(前編)

戸村智憲の対談~内部統制の現状、ERMへの道のり~

いよいよ日本版SOX法が適用される2009年3月期決算が間近に迫ってきた。上場各社の内部統制に対する取り組み状況は今どうなっているのか、さらにはアフターJ-SOXも見据えて担当者は今一体何をするべきなのだろうか。今回お伺いした東京ガスでは、5年間ERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)推進に取り組んでいる。内部統制を考えるうえでも重要なERMとは何か、取り組みのポイントなどについて、東京ガス 吉野 太郎氏と日本マネジメント総合研究所の戸村氏に語り合ってもらった。


個別のリスク管理に横串を通す

吉野 太郎氏

東京ガス
IR部 リスク管理グループ主席
吉野 太郎氏
(※吉野の吉は下の線が長い旧字です)

戸村:御社では5年前からERMの取り組みを実施されていますが、企業の中にはERMに対する理解や必要性の認識がまだまだ進んでいないところが多くあります。最初に御社での取り組みをもとに、吉野さんのお考えになるERM像についてお聞かせください。

吉野:ERMとは、組織がその目的を達成するために、組織目標の達成を妨げるリスクを企業全体で統合的に管理し、企業価値を向上させるための手段です。従来のリスクマネジメントよりも扱うリスクの幅が広く、たとえば競合激化や投資回収など経営判断を伴うリスクも含んでおり、ERMは経営をサポートしていくための重要なツールの1つだと考えています。ERMと聞くと、何か特別なことと思われるかもしれませんが、私の考えでは必ずしもそうではありません。というのも、ERMとは本来業務をサポートする手段でもあるからです。

戸村:そうですね。ERMは何も特別なものではなく、経営そのものと考えられます。内部統制にしてもそうですが、何か特別な新しいことが求められているというよりも、これまでにも必要だったことがちゃんとできているかということを問いかけられているようなものですよね。PDCAサイクルで言えば、立案・実行したものが、モニタリングを通じて、きちんと「できているか、できていなかったか」を「C:チェック」して、必要に応じて「A:アクション(是正・改善)」を行うマネジメント・サイクルが必要になってきているわけですね。

吉野:リスクとは、経営目的や事業目的の達成を妨げる可能性がある要因のことです。こうしたリスクの管理は、各部門や関係会社が本来業務として既に取り組んでいるものです。従って、当該リスクに関しては各部門・関係会社が1番よくわかっているし、対応策も策定・実行しています。

戸村:その点で、CSA(コントロール・セルフ・アセスメント)(注1)なんかは、これまで、QCサークル(注2)やワイガヤ会議(注3)で機能としては各部署で活発に行われてきたように思われます。しかし、各部署が個別リスクマネジメントを全社的に行っていたとしても、各部署の個別リスクマネジメントを統合して経営判断や意思決定に役立つ仕組みがなければ、ERMにはなり得ませんよね?

(注1)CSA
コントロール・セルフ・アセスメントの略。リスクマネジメントや内部統制などにおける統制活動の有効性について、統制活動を行う人々が自ら主観的に検証・評価する手法

(注2)QCサークル
全社的な品質管理活動の一環で自己啓発、相互啓発を行い、同じ職場内で品質管理活動を自主的に行う小グループのこと

(注3)ワイガヤ会議
ワイワイ・ガヤガヤと自部署内の改善点を論じ合うこと

吉野:もちろん、これだけでは個別のリスク管理には対応できても、全社的なリスクの把握や優先順位付けは困難です。そこで当社グループでは「各部門・関係会社での個別的なリスク管理の推進」に加えて「グループ全体に横串を通した包括的なリスク管理」という「二重の構造」でERMを実施しています。こうしてリスクを適切に管理することで、企業価値の向上につなげていこうとしています。

戸村: ERMは、お客様や投資家などのステークホルダー(利害関係者)の方々から信頼を高め、企業価値向上に資するものとして、御社では取り組んでいらっしゃるのですね。

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