Googleが自然言語でモバイルデバイスを制御する小型エッジAIモデル「FunctionGemma」リリース

FunctionGemmaは自然言語の指示を構造化された関数呼び出しコードに変換するようファインチューニングされており、例えば「ライトをつけて」「連絡先に追加して」などの指示をモバイルOS上で実際の操作に変換できることを目指している。これは一般的なChat系大規模言語モデル（LLM）が持つ「生成は得意だが確実に実行アクションへ落とし込むのが難しい」という課題が解消される。


FunctionGemmaは実際に「Mobile Actions」セットでの関数呼び出し精度が高く、標準的な小型モデルと比較して大きく精度が改善（約85％まで向上）していると報告されている。これにより、端末上での自然言語指示からOS機能やアプリケーション操作を呼び出す信頼性が向上するとされている。

Google側はFunctionGemmaを単体でオフラインタスク用に動作させる用途に加え、より高度な質問や推論が必要な要求はクラウド側の大規模モデルへルーティングする「ハイブリッド設計」への活用も想定していると説明している。これにより、端末側での高速応答や低レイテンシ処理を実現しつつ、必要に応じてクラウドAIとの統合も可能とされる。

FunctionGemmaはGoogleの独自ライセンス（Gemma Terms of Use）の下で公開され、Hugging FaceやKaggle経由でモデルおよび関連ツールが利用可能で、開発者が独自のタスク用にファインチューニングや拡張ができる環境も提供されている。また、Googleは開発者向けにMobile Actionsデータセットなどの補助リソースも公開している。

FunctionGemmaの公開は、Googleが大量パラメータ中心のクラウドAIに加えて、小型でプライバシー重視のエッジAIの開発を推進する戦略を象徴するものとされる。これはモバイルデバイスやIoTなどクラウド接続が限定的な環境でも自然言語インターフェースを実現する方向への技術的な転換点と受け止められている。