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- 2026/02/02 掲載
“ある強敵”でイオンの牙城揺らぐ…?傘下のスーパー・ドラッグストア再編を急ぐ理由
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
イオンが小売王者となった経緯
イオン前身のジャスコは1969年、スーパー3社の合併により誕生した。業界では後発であり、ダイエーやニチイ、イトーヨーカドーなどの競合が都市部の駅前を抑えるなか、モータリゼーションに注目し郊外を抑えた。1990年代以降、衣料品ではユニクロやアオキ、家電量販店ではコジマなどの「カテゴリーキラー」が郊外で台頭し、GMS事業は食品以外の売上が低下するようになる。特にダイエーは「何でも売っているけど、欲しいものは何もない」と揶揄されるようになり、店舗物件の下落も相まって衰退した。一方で、1991年の大規模小売店舗立地法(大店法)緩和と2000年の同法廃止により、大型モールの出店が容易になった。ジャスコはイオンモールの出店を加速。カテゴリーキラーをテナントとして出店させ、モールはGMSに代わる消費の場となった。
2001年には社名を「イオン」に変更。以降、その資本力を生かし、マイカル(旧ニチイ)、ダイエーを傘下に収めた。ドラッグストア業界では2014年にウエルシアHDを子会社化し、ウエルシアはその後、各地域のチェーンを傘下に収めた。食品スーパーでは2015年にマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の経営統合によるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)の設立を主導。イオンは2024年度に売上高10兆円を突破し、国内の小売事業では業界トップクラスに位置する。
食品スーパーは東西で再編
冒頭の通り、イオンは2026年3月に食品スーパーの再編を進める。関西ではダイエー傘下の光洋をダイエーと統合する方針だ。首都圏の事業もあわせて資本関係を整理すると下図のようになる。光洋は関西でKOHYOやマックスバリュなどを展開し、2025年2月期の売上高は1,199億円である。光洋の生鮮調達力とダイエーの加工・日配食品を組み合わせた店舗活性化の実験では売上が35%伸びたとしており、両社のノウハウを活用した店舗を新生ダイエーとして展開する方針だ。本社機能や商品製造、配送などの効率化により、15~20億円のコスト削減を図る。
新生ダイエーの売上高は2030年に3,300億円を目指す。関西では平和堂と、H2Oリテイリング傘下の関西フードマーケットの売上高が4,000億円規模であり、イオンの順位は低い。
首都圏ではダイエーの関東事業および、「ピーコックストア」を運営するイオンマーケットをマックスバリュ関東に統合する。統合に合わせて、マックスバリュ関東の社名を「イオンフードスタイル」に変更する。関東では以前からダイエーの屋号が「イオンフードスタイル」に変わっており、関東からダイエーが消滅する可能性は高い。統合による各機能の集約・効率化により、首都圏では20~24億円のコスト削減効果が見込まれると言う。
2024年度におけるUSMHの売上高は8,112億円であり、7,000億円前後のヤオコーとオーケーが迫る。営業利益率はUSMHが1%前後であるのに対し、ヤオコーは4%台、オーケーは5~6%台を推移する。収益面で課題が大きく、イオンは売上高ではトップだが、安泰ではないのが実情だ。 【次ページ】異業種による参入も脅威に、急成長を遂げる“ある企業”
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