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- 2025/10/06 掲載
王者ウエルシア陥落?合併相次ぎ競争激化の「ドラッグストア業界」、次の覇者は誰に?
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
薬と化粧品を売る「マツキヨココカラ&カンパニー」
2021年の経営統合により、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生した。グループ全体の店舗数は約3500店舗。売上高は1兆円強でウエルシアに次ぐ2位の規模だ。マツモトキヨシは関東を中心に東北・甲信越で強みを持つ一方、ココカラファインは関西に出店しており、地域に関して両者は補完関係にある。立地の特徴は両者とも似ており、「都市型」ドラッグストアに分類される。駅前や繁華街に出店し、女性客が主なターゲットだ。
2025年3月期の商品販売約1兆円のうち、主力は医薬品と化粧品だ。売上総利益率では医薬品が最も高く、化粧品が続く。端的に言えば、客が薬と化粧品を買う場所である。ウエルシアと比較すると食品が占める割合は小さく、化粧品の比率は2倍以上だ。
化粧品と聞くと、男性は口紅やファンデーションなどのメーキャップ品を思い浮かべるが、化粧品市場全体ではスキンケア商品やヘアケア商品のほうが規模は大きい。同社は化粧品メーカーと共同で粗利率の高いスキンケア・ヘアケアのPB(プライベートブランド)商品を開発し、利益率改善に努めている。一方で、食品には注力せず、カロリーメイトのような軽食しか置いていない。生鮮食品や総菜、冷食も販売する郊外型チェーンとは対照的だ。
これまで都市部にはこれ以上の出店の余地がなく、M&Aでしか出店を増やせないと言われてきたが、経営統合によりマツキヨココカラ&カンパニーがほぼ都市部を抑えた構図となった。今後、郊外型ドラッグストアが都市部で出店を拡大できる可能性は小さいだろう。
一方で、郊外型でトップを走るウエルシアはどのような戦略をとっているのだろうか。 【次ページ】競合のドラッグストアはどのような戦略を取っているのか
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